氷の記憶と不滅の者

プロローグ 別れ

神々が統治する世界フィーニクス。フィーニクスは神々が住まう場所である神界と人間が住まう場所である地上に分けられる。地上では魔物という化け物で溢れ、人々の生活を脅かしていた。魔物を従える魔族という人型の化け物も存在し、更にその頂点に魔王と言われる存在がいた。そして魔王を倒し世界を救うためだけに生まれた悲しき存在、勇者がいた。勇者は世界を守るために犠牲となった。勇者と氷神の眷属であり、魔族でもあるモルテは親友だった。勇者が犠牲になったことを悔いているモルテは勇者の代わりに世界を守ろうとする。

 一方でモルテは氷神の嫌がらせで呪いをかけられていた。その呪いとは、死ぬたびに記憶の一部を代償にして蘇るというもの。モルテは死ぬたびに誰かを忘れていく。そんな日々がつらくなったモルテは氷神に反旗を翻し殺そうとする。氷神と相打ちになったモルテは呪いを消すことに成功し本当の死を経験する...はずだったが。神は死ぬと近しい者にその権能を移す。今度はモルテが氷神になってしまった。魔族であるモルテが神になることはイレギュラーであり、それは予期しないものであるため呪いは消えず代わりに記憶のすべてを失ってしまうモルテ。幸い記憶のバックアップがあったため記憶は取り戻せたが記憶を引き継いだ別人のように感じてしまう。自分はモルテのようになれないが、モルテの使命は果たしたいと考える。そして誰もモルテを知らないような場所を求めて今日も旅を続ける。

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