無法者
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本編の時系列的には一番最初。 出会いのシーンを描くならやはり夜の倉庫。 カエデは母親の血を濃く受け継いでおり、元々は大きな体格と金髪の青年だった。ストレスか、悪魔のせいかは不明だが、一晩で頭髪は真っ白に染まってしまった。 「無法者」 ━━話を聞くに、童は音沙汰ない同胞の様子を見に来たようだ。 倉庫に侵入した童と、無自覚に悪魔との契約のデメリットを踏み倒した状態で豪遊した父親、無法者は誰かという話。 あまり固まっていなかったが基本的に悪落ち闇落ちを細かく扱っていっていかにして善人、あるいは普通の人が悪人になるかを共感性の高い形でかけたらいいなという方針。 あまり使わない倉庫の整理中、星の数ほどある父親のコレクションの一つに手を出し一服。何か耳に残る嫌みが聞こえ振り返る。 気がつくと格子はいつの間にか壊され、童が見下ろしていた。 足を切っておりカエデが童に注意と共に治療を申し出たところ、冷笑される。心の裏と過去を見られ、人を呼ばれ、その上デカい声で言い当てられる。倉庫のドアを叩く音、呼びかける声、保身、動揺、狼狽、最終的には焦りからの怒り。胸を刺すに至る。 呼び寄せられていた人の声がしていたドアの向こうはいつの間にか静かになっていた。躊躇いつつも気になったカエデはドアを開けると...