火元不明
36
“ カエデがいた屋敷は精算の炎に包まれている。悪魔の炎は踏み倒し続けられた対価を得ようと物と情報を燃やし、際限なく周りのものを喰らっていく。”
しずの生首は身体と精神はそのまま、自称悪魔に魂だけ悪魔の眷属と入れ替えられている。記憶を受け継ぎ、変わらず「しず」と名乗るが、中身が眷属であることは隠そうとしない。言動は以前のまま明るいしっかり者で、時に首だけでコミカルな動きを見せるが、その瞳は血の涙を流している。
たとえ傍らに生首を抱えていなくとも、火災現場から去る白髪の大男と白髪の童女は大いに目立つことだろう。だが彼は誰に咎められることもなく治安組織の真横を通って逃げおおせた。
知性体は悪魔が関わったものを正しく観測出来ない情報、認識災害を受ける。彼らは何かが燃えていることは分かるが、精算の炎によって建物が燃えていることも、その持ち主が誰であったかもわからず、燃え広がった先のモノも正しく認識出来ない。また悪魔と関わりを持つ生首の存在をおかしく思うこともない。
もし残された記録や条件から違和感を覚え、現場の証拠や以前の記録を突き詰めようとするとあきらかに真実と違う形でも頭の中でつじつまがあってしまい捻れる。そして、燃え尽きてしまったモノは存在に気がつくことすら出来ない。
この現象が脳への影響によるものか事象の書き換え、現実改変によるものなのかは、観測者が人間以外居ないこの時代ではまだ判明していない。
火を消しているのは煙辿(えんてん)教会。
簒奪者の発見とその影響の除去を目的としている。
発足は16世紀末期ごろだが、間もなく弾圧により滅び、それ以前に海外に渡っていた書物を逆輸入する形で存在が確認され、これを元に19世紀の中頃に再発足された。
聖水を最新技術のアーレンスフォックス消防ポンプ車で派手にぶちまけ、「悪魔に関する炎」によって証拠が完全に意味消失するのを防いでいる。
彼らも悪魔の認識災害を受けるが、祝福によって悪魔の存在自体と、清算の炎による認識災害の存在は知っているようだ。ただ、どの火災が悪魔の炎なのかは分からないので手当たり次第に対応している。
殆どはただの人の集団なので仮に悪魔を直接認識し、対峙したとしても何も出来ず、また対応が早くても性質上事後処理しかできない。
カエデデザイン変更メモ
「まずロン毛に固定、肩甲骨より長いくらい。
無理に後ろに回すのではなく多少遊ばせつつ後ろで結えるくらいに。
顔もちゃんとゲルマン系の血が入っているように強調、最初のデザイン画に引っ張られて細い目にしてたが常にあの顔にする必要は無いことに気がついたので目を多少大きく変更、間違いなく大人ではあるものの多少幼さの面影が見えるぐらいを目指した。」