短編

躑躅色の標本箱

石膏の庭師が管理する箱庭は美しいもので溢れている。躑躅色の色硝子に歌う植物、宝石の朝顔。蝋人形の少女は、そんな箱庭を愛していた。

けれど、どんな存在も永遠ではない。

庭師と箱庭が消えるとき、箱庭に夢見た少女もまた消える。箱庭の骸とともに、とろとろと赤い火に弔われて。

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