公開投稿

2026.01.09 11:46

移り変わる横顔

0

11

 仮面を付けるなら、横顔固定でお願いします。

 顔となるものを、いったい何にするのか。最初にそう問われた時、あたしはそう言った。あたしをあたしたらしめる、というと大袈裟に思えるかもしれないが、自分のなかに溜まっていたものを吐き出すという行為は、あたしにとって、どう考えても大事件だった。以前から「おのれの作品化」に失敗し続けている事実があるゆえ、弱気になるのもわかっていただきたい。

 雑記と称した「作品」の根本には、こういう、うざったい自己憐憫がある。

 まァ何をやらせても長続きしない人間が、時々沈みながら活動してきたわけだが、とりあえず二年はもった……のだろうか。あたしのインターネットデビューはブログサイトだった。その頃はまだ筆名を考えておらず、空集合の記号だけがプロフィール欄にあった。

 どうしようもなく何かを語りたい。その一心でアカウント登録をし、フォローの意味もわからないまま文章を投稿した。すると何が起こったのかといえば──これから言うことは自慢です──ハートが赤く染まり、フォロワーが増え、コメントが付いた。それを見たあたしは大いに喜んだ。テンションが上がりすぎて眠れなくなったぐらいだ。

 自分が作り出したものに対して反応がくるとは思っていなかったから。

 無視されると思っていたから。

 エッセイに始まり、次に手を出したのが小説だった。最後に知った表現方法が短歌を含む詩だった。どれもこれも、そのカテゴリーのなかにはまっている自信はない。

 最初は、イラストを投稿したかった。すきなイラストレーターがいて、そのかたと同じプラットフォームで活動したかった。

 が、しかし。調子に乗っていたからだろう。某SNSでは永久凍結されてしまった。理由はいまもわからない。縁がなかったということにした。そのため、現在はいろいろと話題に事欠かない某元青い鳥で、短詩を中心に投稿している。ちなみに、しれっとイラストも描いている。色塗りから目を逸らして、メッセージ性を無視して、流行りを毛嫌いして、できるだけ自分の気力が削がれないように「マイペース」の五文字を掲げながら。

 すべてが嫌になり、単色アイコンになって悲鳴に似た本音をあけすけにしてしまおうと思った時があった。実際にやったことはアカウント削除だった。ポストをすべて消し、フォローも外して消した。でもすぐに再開した。不安定だなァと我ながら呆れている。それに、卑怯だとも思う。

 横顔固定だって、卑怯だ。

 話す時は相手の目を見なさい。と、教わったのに。そもそも対話をしない。その場にいる人間から目を逸らしている。画面越しだったとしても真正面から相手を見ない。ひねくれた異端児ぶって目元を隠しているくせに、反応は欲しいし誰かに見てもらいたい。

 ひとりの人間として認識してほしい。でも人間ではなくなりたい時もある。自分を含めた人間が怖いから。アイコンが人間の形から離れれば離れるほど、作品の内容があり得ないことになればなるほど、あたし自身が現実の毒気に当てられて滅入っている状態であると、最近気づいた。

 真正面顔をアイコンにする日は、おそらく来ない。前述したうざったい理由もあるが、横顔には真正面にはないよいところがあるからだ。

 相手から見えない部分がある。つまり、左半身で微笑み、右半身で嗚咽することができる。 

 それは思わずカッコつけて、「Eureka!」と日記に書いてしまったくらいに大発見だった。