公開投稿

2025.07.21 19:05

個人依頼動画の制作裏話的な

つなぐのコミッションにて制作させていただいた動画( https://x.com/touhi_mentaru/status/1947207084313076045 )の裏話的なものをしようかと思います。


まずビデオコンテの制作をしました。

大まかなタイミング、シーンを決めていきます。

使用ソフトはProcreate Dreams。

Procreate Dreamsはアプリ内で絵を描きそのまま動かすことが出来るので、ビデオコンテを作る際に重宝しています。




赤い風船を渡される→赤い風船が割れる→風船が肉塊となり落ちる→それをアイスとして提供

という流れは悪夢感が出たかなと思います。



次に素材となるイラストを描いていきます。

使用ソフトはProcreate、CLIP STUDIO PAINT。Procreateで線画を描き、CLIPSTUDIOで色塗りをします。

Procreateのブラシは味があるので、シーンによってはそのままProcreateで色塗りを済ませることもあります。

アイス屋さんの衣装がキャラ資料の中にありましたので、そちらを元に描いています。

衣装に合わせた色味のアイス屋台にしました。

風船で顔が隠れる前の素材。




後半、人物に近づいていくシーンがあるのですが、カメラが近づくごとに背景を描いています。

アイレベルを徐々に変えることで不安定感を表現したかったためです。


あまり厳密ではありませんが…。



素材が出来たら動画編集ソフトで合成していきます。

使用ソフトはDavinci Resolveです。

現在は無償版を使用していますが、使いたいエフェクトがあるので今後有償版に切り替える予定です。買い切りなので嬉しい。


オーバーレイ、スクリーンなどの効果を付けたり、3Dカメラを使いライトを足したりします。




キラキラやグリッチ、ノイズなどのエフェクトもDavinci Resolve内で付けていきます。




Davinci Resolveの作業画面はこのようになっています。

こちらの画面はEditページです。

レイヤーはあまり大量には重ねていません。Fusionページでエフェクトを重ねたものをパーツ分けし、更にEditページで重ねています。

また、エフェクトを使うと重くなるので完成したクリップはメディアプールに保存しておき、レンダーして置き換えています。

この方法がPCの負担にもなりにくいらしいです。

メディアプールにクリップを保存しておかないと修正が困難になるので注意です。(もっといい方法あるのだろうか)

こちらの急にMVのようなシーンに切り替わるのも、夢の突拍子の無さを表現しています。



こちらがFusionページです。

ここでエフェクトや効果を足していきます。

肉塊風船をかわいくキラキラにデコるシーンです。


やっていることとしては、まず画像を配置してその上にキラキラエフェクトをつけ、さらに上に色彩効果をつけ、一番上に集中線のような図を入れています。

キラキラエフェクトは【pEmitter】を【pRender】で表示されるようにしたあと、【Highlight】でキラキラさせて【StopMotion】で動きをコマ落ちさせ、【Merge】に繋げて画像と合成しています。

そのままでは全体にキラキラエフェクトがかかっている状態なので、【Merge】に【Ellipse】(丸い形)でマスクし、中央にはかからないようにしています。


次に手のシーンのFusionページです。


これは、透明の背景の上に波のような図形を配置し、その上に手の画像を配置しアニメーションさせ、そのアニメーションを遅らせたものを更に上に配置しています。

波の図形は下に配置したかったのでノードを左に持ってきています。

【sBSpline】で丸い歪んだ図形を作り【sRender】で表示、【Waviness】で波のように揺らし、【Mirrors】で反対側にも表示。

さらに【Transform】でそれらが端から表示されるようなモーションをつけ、【StopMotion】でコマ落ちさせています。

【Instance_StopMotion】となっていますが、右側の【StopMotion】を親としてコピペしているためこのような表示になっています。


描画ソフトをよく使っていたのでレイヤー構造に慣れており、このノード構造は初め全く分からなかったのですが、徐々に慣れてくるとレイヤー構造よりも管理と修正が楽ということに気づきました。

もっと合理的な組み方があると思うので、勉強していきたい分野です。



こちらはColorページです。

彼が見ていた悪夢から覚め、現実になり音が止まります。

そのままのイラストだと不穏感が足りなかったので、色味など調整していきます。


全体的に色調を整えた後、画面下方を四角形でマスクしその範囲に影をつけています。

この辺りはほぼ感覚で調整しています。



今回BGMは最後に制作しました。

完成した動画に合わせるように秒数を決め、作っていきます。

使用ソフトはREAPERです。

トラック数は少ないです。

フリー音源を使用し、環境音、重めのストリングス、鐘のような音を鳴らしています。

環境音は明るめの雰囲気の音源を使用したのですが、悪夢とのギャップを狙っています。

環境音の音源は音階ごとに違う雰囲気のものが流れるので、音階を変えて切り替えています。

出力する際は動画とのタイミングの調整がしやすいように、常に鳴っている音と鐘の音は分けました。

そして出力したWAVファイルをDavinci Resolveに取り込み、出力して完成です。



今回、様々な悪夢のシーンを制作できたので大変楽しく、また色々と学びながら制作させていただきました。

この度はご依頼ありがとうございました!


動画作りって楽しい。