氷姫~『権記』より(平安・歴史創作)【完結】
倒景【完】
※完結です。
平安時代、藤原道長の栄華を支えた官僚として必ず名前の挙がる四納言のひとり、藤原行成。彼こそが本来は道長のように繁栄を極める家筋に生まれた者だった…… ということは大河ドラマではさほど知られていないかと思います。
実直で、誠意ある官僚として描かれることの多い人物ですが、彼はそういう地位になるまでが大変な苦難を経験しており、それゆえに数少ない親族に対しては、とても情愛が篤い人間でもあります。
この話は、一人息子と言われている行成の父方の数少ない親族である伊尹(行成の祖父)の末娘は、本当は行成の姉妹ではなかったか、という想像のもと書いたものです。
謙徳公の一族はまだ続くとはいえ、その栄華の片鱗でも知っているのはこのふたりが最後です。
滅びゆく一族の、最後の対になるふたりを描きたくて書いた小説です。
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