九十九の陰影 漆
黒く影のようにすべてを染め上げる、醜悪で残忍な九十九の物ノ怪。
愚者火は彼女を「漆」と呼んだ。
黒摺水の魂の陰の部分から生まれた九十九。黒摺姉妹の長女の半分、という何とも曖昧な立ち位置のうちのこです。
性格は冷淡で狡猾、少女のような見た目から発せられる言葉にはどこか見通しているかのような不気味さがある。
水が魂を半分にした時に漆自身の自我が芽生えたが、自分が何者で、どんな目的で切り離されたのかも周知しているため、本体への執着はあまり無い。一方で、妹たちから見ての自分の存在はどんなふうに映るのかが漆の唯一の悩みで、行き過ぎた思考によって姉妹の関係性を引き裂いてしまうきっかけを作ってしまった。