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2025.11.10 21:56

「気絶+」2025/11/10(月)の雑記

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 行き渡らない酸素が肺の手前で渦を巻いて台風未満の、低気圧ふうな顔で座り込んでいる。肺胞のビジュアルがぱっ!と頭に浮かんできてちゃんとうわ……になる。スーパーに並ぶシャインマスカットを見るたび「肺だ」と思ってしまい、自分の肺とシャインマスカットが入れ替わる映像がくる。スーパーから帰ってくるとおれの内臓のひとつ(一組だし、ふたつ?)は立派なシャインマスカットになっており、酸素も日光も十分でない場所でじむじむと腐っていく。果実ってなんか変に切ない。


 髪の毛が床に落ちているのが不快で、ポモドーロタイマーの休憩時間はひたすらに床を掃除している。休憩時間も絵が描きたくて仕方がなくて全身が涎になっているため、涎状態から脱出するべく家事を挟む。洗濯物を畳む、炊飯器に米をセットする、ちょっとしたトイレ掃除。整える、というより平らにする感覚。砂場をさーっとヘラみたいなやつで綺麗にするみたいな。そうして日々頭の中のデカい手首が柔らかくなる。


 制作をするのは気絶したいからだ。絵を描いている間は意識がない状態に近くなる。上手く休んだり眠ったりするのが不得意だから、起き上がっている時間を紛らわす手段ばかり探している。手広くやっているね、と言っていただくことがある。手広くやってもひとつひとつ伴っていないと悔しいから全部本気でやる。選ばれたい、という欲求が異常。全部で凄まじくなりたい。欲張りすぎる自分を認めてからはもっと欲張りになった。これからも手は広くなり続けるだろうな、次は何だろう。ダンスやってみたいかも、ちゃんと。おれがバッキバキに踊ってたら面白いから。体幹が強い人のことをかなり面白いと思っている節がある。すごすぎるから。


 昨日は現象をスケッチした。頭の中で起こっていることを凝視しながら手を動かすとこれが出来た。




 脳が元気すぎるときはこういう感じ。蛍光灯を瞼に当てられているのかと錯覚するくらい強烈な明滅、糊付けの済んだ封筒みたいな悲しさがやかましく頭蓋骨を響かせてバウンドしている。ばよんばよん飛び交う光のヒレが線になって像を結ぶ。涎がバケツツールからひっくり返されて線の中が明瞭になる。ばよえーん、ばよえーん、ぷよぷよはテカテカしてるからあまり見ていられない(テカテカつやつや、てろてろしている質感に【生命】を感じるためそれらが苦手)。


 ごろーんと寝転がると、窓から入った夜の光が伸びて窓枠の形が天井に移されていた。こういう「仕組み」の移動が好きだな。


 モーニング娘。の「HEAVY GATE」という楽曲の歌詞を間違えて覚えていたことに気がつく。「君ってね 広すぎて 君ってね かっこよすぎ」かと思っていたら「ヒーローすぎて」だった。広すぎる人になりたい。広すぎてかっこよすぎに、なりて〜……。