禁足地の遺跡にあこがれて

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「もう夕暮れか……」

収穫したばかりの果実を運ぶ途中、ふと足を止める。

村で最も見晴らしの良いこの場所は、古くからある遺跡がよく見える。

鳥の翼のような門に、崖にそびえ立つ塔。

中に何があるのか誰も知らないが、村ができる前から存在しているらしい。

あの遺跡は選ばれた者しか入れないとか、村の特産品の果実がよく実るのはあの遺跡のおかげとか、幼い頃から不思議な話をいくつも聞いてきた。

できることなら、中に入って探索してみたい。何のための遺跡なのか、それを解き明かす手がかりを調べてみたい。

しかし、何人たりとも立ち入ってはいけない、それが村の掟だ。

どれだけ行きたくとも、その先が村から追い出されることになるなら選ぶことはできない。

ここを出て生きていく術を、僕は持っていないのだから。

でも、きっと、いつか……。

重い籠を抱え直して、再び歩き出す。


これは、僕が遺跡調査員になる、数年前の話。

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