星空のふたご
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地上と星空を繋ぐ螺旋階段。
そこには、ふたごの女の子が遊んでいました。
さらりと長い髪の毛を靡かせるのはジェミニ。
鎖をしゃらしゃら鳴らすのはヘミニス。
二人はとても仲良しで、とてもそっくり。
今日も螺旋階段を行ったり来たり、ふたごは楽しそうです。
「今日はとっても楽しいね」
「今日もとっても楽しいね」
そう言って二人は笑いました。
空がゆっくりと黒に染まり、星々がきらきら輝き始めた頃。
「もうすぐ銀河を走る列車が来るよ」
「お見送りをしなくっちゃ」
そう言って二人は螺旋階段を駆け上がります。
螺旋階段を上がった一番上には、小さな駅がありました。
汽笛を鳴らしてやってくるのは真っ黒な列車。
列車には沢山の人が乗っています。
乗客は皆んな、流れ星に願った人。
ある人は、愛する人に会えますように。
ある人は、幸せな人生を過ごせますように。
ある人は、苦しみから解き放たれますように。
その願いを胸に、皆んなは列車で空の果てへと行くのです。
果てに何があるのか、どうやって願いが叶うのか。
それは誰も知りません。
「さようなら」
「お元気で」
ふたごは列車に手を振ります。
列車はぽーっと汽笛を鳴らし、駅を過ぎていきました。
「ねえヘミニス、ヘミニスだったらどんな願い事をする?」
ジェミニは無邪気に問いかけます。
「もちろん、ずっとジェミニといられますように、だよ」
ヘミニスは笑顔で言いました。
「じゃあジェミニはどんな願い事をするの?」
ヘミニスが聞くと、
「それはね…セカイの終末をヘミニスと迎えることかな」
ジェミニはそう言ってころころ笑いました。
流れ星に願う時は、星空のふたごを思い出してください。
遠い遠い空の先で、二人は今日も列車を、あなたを見送っていますから。