1. 目覚めよと
呼ぶ声があったかは定かではありませんが、その日確かに、私は死にました。
私は確かに地獄への放逐を望んでいましたし、それが私にとって最善であると考えていましたから、気づいた時に自らが珍妙な格好をして、何処とも知れぬ地に足をつけていたということが、俄かに信じ難かったのです。そこには自分と同じように”死を迎えた”人々がありました。彼らは驚き、慄き、軈てこの状況を受け入れて、この巡礼を受けることにしたのです。部屋が提供され、衣食住が可能であると気づくと、食事を摂る者も現れたのですから、自分も呆れ混じりにそれを受容しました。これが正常化バイアスに因る行為であったことを、私はよく知っていました。
