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2025.02.24 22:02

Wiiデラックス二周年祝いの思い出話

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 Wiiデラックス二周年おめでとうございます!!



 本日2025年2月24日は『星のカービィWiiデラックス』が発売されて二周年という節目の日!

 『星のカービィWii』は私にとって思い入れの深い作品なのですが、それのリメイクが出ると発表された2022年の秋ごろは阿鼻叫喚でした。リメイクされるだけで大変なことなのに、そのうえ本編後のマホロアの様子をえがいた新モードまで追加されるものだからそれはもう発狂もの。十年以上前の青春を共にかけたあの冒険の物語がパワーアップして令和の世に帰ってくるなんて、私にとっては大事件のようでした。



 まずは原作である『星のカービィWii』の思い出から話しましょう。

 当時の私はほんの小学生で、カービィのゲーム作品はDSソフトの『星のカービィ 参上!ドロッチェ団』から入りそこそこ遊んでいました。アクションゲーム自体はそう得意ではなく、今日のファンの間では最弱ラスボスと名高い(?)かの暗黒の支配者にすら若干手こずっていたくらいです。『毛糸のカービィ』『あつめてカービィ』『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』などの作品を遊んでいましたが、そのときはまだストーリー面やキャラクターの関係などにはあまり着目しておらず、ただ普通にいちゲームとして楽しんでいた程度だと記憶しています。

 そんな中で2011年の10月に『星のカービィWii』が発売され、新作が出たからとさっそく買って遊んでみたら、マホロアという目新しくよく口の回る味方キャラクターが登場。ほにゃほにゃ喋る声がかわいいな~と思いながらストーリーを進めていたらランディア撃破後にマホロアの裏切りに遭い、敵対することに……。そのときは裏切られた悲しみよりも怒りが勝っていて、「敵になったのなら倒す」と血も涙もありませんでした。それはメインモードクリア後に解放されるエクストラモードでも変わらず、むしろメインモードで物語の流れを知ったからか裏切り前のマホロアの仕草が白々しく思えて「どうせ裏切るのにな」と笑っていたくらいです。

 そしてマホロアソウルを撃破してスタッフロールを眺めていたら、最後に流れてきたストーリー中の写真がローア船内で話すカービィとマホロアの場面。他にもたくさん大団円な場面の候補はあったはずで、マホロアは作中ではカービィらを裏切った悪人であるはずなのに何故嘘をついていたころの写真をわざわざエンディングの一番最後に持ってきたのか。幼いながらにそれが引っかかり、マホロアにとってカービィは本当はどんな存在だったのか、ふたりはあの一瞬だけでもほんとうにトモダチになれていたのではないかと頭の中で疑問がぐるぐると渦巻いていました。ときには夜に布団の中で涙を流したことも。


 「もしかしてマホロアはカービィと本当に友達になりたかったが、何かの理由によってそれが叶わなかったのではないか?」


そんな答えに辿りつき、以降はマホロアのことを単純に裏切り者と罵倒することはなくなり、裏切ったこと自体は事実だが、それによる悲惨な末路と恐らく叶わなかった想いの行き場のことばかりを考える(妄想する)ことが多くなりました。この当時の私は、マホロアは死んだものだと解釈していたので余計に彼の辿った顛末を悲しく感じていました。

 慣れないインターネットを使って個人ブログなどを漁り、二人の関係について記した文章を読み漁っていた時期もありました。このときPixivにて読んだとあるカビマホの小説作品が今もそのまま残っていて少し感動したのは数週間前の話。

 それはともかく2012年に発売した『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』内のモード「もっとチャレンジステージ」でマホロアに会えることがせめてもの慰めで、彼に会うためにVSマホロアのEXレースをやりこんでいました。このときはネット上でもマホロアはソウル撃破後の演出から死んだものとして見る動きが強かったと覚えていて、そんな状況だったため英語版でのセリフ(「カービィへのお詫びにテーマパークを作った」という英語版のみで見られるマホロアのセリフ)を根拠としてまことしやかに囁かれていたマホロア生存説も心の支えとなっていました。


 こんな思い出があったので、実はWiiデラックス発売前までにネット上にあった「ドノツラフレンズ」の過剰な弄りをあまり良く思ってはいませんでした。マホロアのやったことがやったことなので多少は仕方ないなと流していたのですが、それでもやはり度を過ぎた弄りをする人は少なからず見かけたので、そのたびに少し苦い気持ちを抱えたり。



 時は流れ2023年2月24日。満を持して発売された『星のカービィWiiデラックス』いったいどのような出来になったのかと戦々恐々しながらプレイしてみると、期待を大きく上回るクオリティと密度で脳のキャパシティが足りない事態に!あの原作のグラフィックがブラッシュアップされ溜息が漏れるほどの映像美を見せられるだけでも心がいっぱいいっぱいなのに、新規で追加されたセリフや情報も多く思考が追いつきませんでした……。何よりも新モードとして追加された「マホロアエピローグ 異空をかける旅人」の内容は本編後のマホロアがいったいどうやって異空間から「ひょっこり」ポップスターへ帰ってこれたのかの理由が明らかにされるだけでなく、マホロアというキャラクターの良さも惜しみなく描写されていて大満足の一言に尽きます。十年来のファンはこれで成仏することができました。ありがとうございました…………。

 ラスボス撃破後に現れたディメンションホールの先はどこにつながっているのか、マホロアは異空間の底から本当に脱出できたのかとドキドキしながらスタッフロールを見つめていたら、ハンターズ世界へ流れ着いたと分かり鳥肌が立ちまくり、勢い余って私が自我を失いそうになっていました。そんなことされたらてんしゅマホロアに貢ぎたくなっちゃう……!私のお金……有効活用してネ……!!


 また、あれほど欲しがっていたマスタークラウンを自分の裏切りの罪と共に一刀両断した場面は痺れました。落ちていた剣を拾い上げ、覚悟を決め全魔力を注いで現れるのはかつての己を斬った勇者の持っていた大剣に似ているそれ。スターアライズでウルトラソードを扱えていた理由が判明し、同時にマホロアのカービィへの想いも垣間見えて思わず涙腺が緩みました。悪あがきで暴れる王亡き樹冠を斬るマホロアの後ろ姿はもはや歴代にひけをとらない主人公そのもの。彼を好きで良かったと心の底から思えました。

 上述した『星のカービィ20周年スペシャルコレクション』の「もっとチャレンジステージ」でVSマホロアのEXレースで流れる音楽のタイトルは「異空ヲカケル旅人」となっていて、これはマホロアエピローグのサブタイトルと全く同じなんですよね。もしかして、2012年時点で既にこの構想があったのでしょうか…?熊D、恐ろしや……。



 こうしてエピローグも終え、真格闘王への道に挑戦しました。

 真格は作中に登場した全ボスと戦うボスラッシュの形式なので、原作からいたボスに加えマホロアエピローグに登場したボスたちもいたので相当な長丁場となりました。特にぼうそうローパーズのことは許せそうにありません。初見時は本当に時間がかかった……!!今でも苦手なボスです。個人的には今作における真格の鬼門。

 しかし逆に言えば私は原作を相当やりこんでいたので、原作の時点からいたボスにはさほど苦労はせず、これならマホエピ勢さえ突破できればクリアは簡単だと思っていました。そう、最後にアイツと対峙するまでは……。


 真格では終盤に戦うことになる強力なボス(ラスボス含む)四体を「四天王」と呼ぶならわしがあるのですが、私ははじめ四天王のトリを飾るのはマスタークラウンだと思っていました。しかしギャラクティックナイトを倒した次に来たのはマスタークラウン。一応メインストーリーにおけるラスボスだからなのか、マホロアソウルは原作と同じく真格闘王への道のラストを飾るようでした。

 ならばクラウンを乗り越えればあとは消化試合か、とクラウンを突破し休憩室へ行くと、どうやらただごとではない雰囲気。原作にはなかった恐怖を煽る不協和音にまみれた音楽が流れていて、何やら様子がおかしいと違和感があったのですが、その時点ではまだ異変に気付かずそのまま最終決戦の場へ。

 いざ真のラストバトルが開幕したかと思えば、どうやら原作とは全く違う。まず背景が赤黒く変色しており、流れている音楽も本編の「CROWNED」ではなく『星のカービィ スターアライズ』内のモード「星の○○○○」でマホロアを選択した際にバルフレイナイト戦で流れる「覇王戴冠 ~OVERLOAD~」に変わっている。そして何より原作と行動パターンがまるっきり違う

 てっきり原作と同じ行動で来ると思い込んでいた私はHAL研の目論見通りに罠に嵌り、二連マホロア砲やダブルブラックホールを避けられず大ダメージを負う羽目に。しかも攻撃した際の体力ゲージの減り方も明らかにこの後もう一段階があることを予感させるかのような動きをしていて、ここにきてようやく「何かがおかしい!」と気付きました。


 何が起こるのか分からないが倒さないことには終わらないと、ボロボロになりながらなんとか体力ゲージを削り切るとやはり予想していた通りに第二段階へ移行。しかしその姿は原作で何度も見たものとは少し異なり、マホロアの唯一の原型要素であった白い二つ目が消え隻眼となったもの。真っ赤なリンゴが吐き出され、スペシャルページもマホロアの独白に。攻撃も原作をはるかに超える激しさで、初見時は攻撃を避けきれずにここで無念の敗退をしています……。

 気を取り直して二度目の挑戦をしてみると、一度目には攻撃を避けるのに必死で見落としていた部分が見えるようになっていました。マホロアソウルが第二形態へ移行すると音楽により壮大なアレンジが加わり、しかもマホロアの苦しげな声が響いてくるというプレイヤーへの精神攻撃よくばりセット。ワープスターの音もあるぞ!「カービィ」という言葉をはっきりと聞き取れるのが余計に痛々しく、スペシャルページの独白調の内容も相まって「絶対に助けなければいけない!」という焦燥に駆られた覚悟を抱かなければならず、本当にマホロアソウル戦は「マホロアを倒すための戦い」なのではなく「マホロアを救うための戦い」なのだと再認識しました。


 実はWiiデラックス発売前に「小説版で『下の赤い目はマホロアのものではない』と示唆されているし、マホロアソウルのマホロア要素って白い二つ目だけでは?」と妄想程度に考えていたのですが、まさか本当にそうだとは思っていませんでした。かろうじてあれが元はマホロアであったと示すパーツが消えることは、つまるところマホロアの自我が完全に消えた(≒死んだ?)というふうに解釈できるわけで、そうなるとスペシャルページの内容も結果として彼の遺言書となってしまう……。撃破後の演出もクラウンが壊れないままディメンションホールへ吸い込まれてそのまま消えるというものになっており、私ははじめ「ここからエピローグに繋がるのか?」と考えていましたが、マホエピの冒頭に流れる回想はエクストラモードでの撃破演出になっているため、ならばどういう意味なのかと首を傾げていました。

 ふと思い出したWiiの開発裏話。マホロアが嘘の罪から解き放たれるあの光の演出は、初期構想では「エナジースフィアを120個回収した場合にのみ見られる演出」となっていたらしいとのこと。つまりあの光の演出がハッピーエンド(トゥルーエンド)であるとするならば、120個全てを回収してない状態で撃破した場合の演出はバッドエンドのものだったのでは。『星のカービィ2』『星のカービィ3』『星のカービィ64』の数字シリーズにて存在した収集要素でのルート分岐がWiiの初期構想にもあったという事実。このことから私の中で、今作の真格闘王への道のみで見られるあのクラウンが破壊されないまま消える演出はマホロアが「嘘の罪から解き放たれず、魂を啜るクラウンからも解放されず、贖罪も果たせないまま自我を喪失し存在として死亡した」世界線を示すものであるという結論にたどり着きました。あそこから助かってほしい気持ちもあるのですが、マホエピ冒頭の回想と食い違う演出や「真格闘王への道」(とそれに準ずるモード)自体パラレルワールドという設定が存在していること、そしてクラウンが破壊されておらずマホロアソウルのままカービィの目の前から姿を消したことであれを止められる者が傍にいなくなったことなどが悪い想像を助長させてしまい、どうにも希望が見出せません……。しかもマホロアソウルが吸い込まれていくディメンションホール、よくよく見ると異空間の中ではなく異空間の外に繋がるものなんですよね……(マホエピ参照)。マスタークラウンが文明をひとつ滅ぼすほどの厄災であることはマスタークラウン戦での背景でそれとなく示されていて、それが元の持ち主の自我が消え去った抜け殻の肉体を手に入れて異空間の外へ行ったとなると恐らくあの後のマホロアソウルは…………。

 考えれば考えるほど、後味の悪い話です。パラレルとはいえ、これがマホロアにとってのバッドエンドのみならず、友達を悪夢から救えなかったカービィにとってのバッドエンドにもなってしまうのが最悪の後押しになってしまっている。アルティメットカップZにて希望のある終わり方をしたディスカバリーとは対照的です。本軸でのマホロアはしっかりと贖罪を果たし、カービィの手助けもし、後述する本来の夢も叶えているのでなおさら真格ルートの悲壮感が際立っています。一生ものの傷になりました。おのれ。



 Wiiデラックスといえばわいわいマホロアランドで遊べる多彩なサブゲームも魅力のひとつ。原作にあったものに加え新規のサブゲームと歴代のサブゲームが多数収録されているので、これだけで軽く数時間は溶かせます。参ドロとUSDXをよく遊んでいたDS世代なのでタッチ!早撃ちカービィとスマッシュライドが収録されていると知ったときはかなり嬉しかったです。反射神経がこの世の終わりなので刹那の見切りのミッションが一生クリアできません。たすけて。

 ただ原作にあったガンガンバスターズがリストラされたことはショックでした。手裏剣道場と共に兄妹や友人たちと楽しく盛り上がれた思い出のサブゲームなので、これだけSwitchで遊ぶことができないのは少し寂しいです。後釜のガンガンブラスターズも楽しくて好きなんだけどね……!やっぱりバスターズにしかない良さがあるから……。



 Wiiデラックスは十年前のあのときの思い出を鮮明に蘇らせるだけに留まらず、世界観のさらなる掘り下げと謎を提供し、マホロアのキャラクターとしての深みも出し、と全てにおいてリメイク作品として完璧な作品であったと思います。本当に『星のカービィWii』が好きで良かったと思いましたし、これからも彼らのことを見守っていきたいと思える素晴らしいものでした。これから先に何があっても一生好きだと思います。

 『星のカービィWii』の英語版タイトルが”Kirby’s Return to Dream Land”となっているのが昔から好きだったのですが、この”Return to Dream Land”の部分は異空間ロードを超えた先のハルカンドラからはるばるポップスターへ帰ってきたカービィ一行だけでなく、異空間と世界線をいくつも渡り歩いてポップスターへ帰ってきたマホロアにもかかっているのだとWiiデラックスを遊んで気付きました。『星のカービィWiiデラックス』はカービィたちとマホロアの、ぼうけんのはじまりであり自分たちの帰る故郷であり楽園であるポップスターへ帰還するまでの道程を描いた物語なのです。

 本当はWiiデラックスにて判明したカービィとマホロアの関係性や、ハルカンドラ文明についての謎など語りたいものはまだまだたくさんあるのですが、これ以上は収集がつかなくなりますし、私としてはそういったことはこの場で言葉で語るより絵や漫画にする方が得意なので、語りはここで一旦終わりとしておきます。



 ここまで長々と語りましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 もう夜も更ける時間ですね、おやすみなさい。自分ごと変わってしまうほどに眩しい一番の友達に出会える夢を。