公開投稿

2024.12.02 00:02

文フリに行ってきたよ

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文学フリマ東京39に行ってきました!!!




実は私、こうした即売会イベントに行くのは始めてなのです。元々が出不精なために今までX(ツイッター)で開催告知などをぼんやり眺めて「楽しそうだな」と思うだけで行くことはしていませんでした。出店者側として出たいという欲も特にありませんでした。

しかし物は試しだと言うことで思い立ったが吉日、チケットを調べてすぐに購入しました。当日は何も気にせずイベントに集中できるようやるべきことも散々苦悶しながら終わらせました。


それらの選択は何もかも正しかったというのがひとまずの感想です。





テレビやSNSでは何度も目にした東京ビックサイトを始めて生で拝みました。

この写真を撮った位置に来て「私はここに来たんだな」という実感がようやく湧いて出てきて、気分はまるで遠足に来た小学一年生。見慣れない景色を周囲に置いてずっと首振り。傍から見れば不審者であったかと思います。落ち着きが無いだけなのです。


会場入口を探して入場しようと思ったら長蛇の列!正直に言うと、舐めていました。

というのも人が多いことは予測していたのですが、実際見たものが予測をはるかに上回っていました。人で出来た大蛇を見ました。私もその一部。今日は色々着込んでいたのですが人が密集していたため少し暑かったです。コートを脱ぐのが面倒で会場を出るまで我慢していました。というか、会場入りしたら暑さが意識から外れました。


長い長い列の先へ進み、ようやく入場。

そこは「好き」が詰め込まれた場所で、普段の暗い気持ちを跡形もなく消し去ってしまうほどの威力を持っていました。

どの人もみんな楽しそうに自分の「好き」を共有していて、ここは人から人へと渡される「好き」を具現化し心と心の触れ合う場所なのだと、そう感じ入りました。

人が本当に多くて途中途中詰まったりして(すみません)、会場もかなり広かったのでクタクタに疲れはしましたが、いつもなら疲れからくる負の感情が今日だけはどこにも見つけられなくて、イベントの持つ力を垣間見た気がします。

出店されている誰かが、ブースにやってきたお客さんに笑顔で商品を手渡し、お客さんも笑顔で「ありがとうございます」と受け取る、そんな一瞬のやり取りですら眩しいもので、「好き」で繋がれることはこんなにも幸福なことなのかと感激。

私もいくつかのブースで買わせていただいたのですが(詳細は後述)、いずれの出店者さんも丁寧に対応してくださって良かったです。


冒頭で述べた通り、私は今までこういったイベントごとには参加せず、作品を売る側になろうなどは私の度胸が足りないがために目指すことを諦めていたのですが、今回文フリに参加してみて、このようなイベントに作品を出す側で参加してみるのも良いのではないかと少しずつ思い始めています。現時点で一次創作の露出量がほとんどないためまだまだ先の話になりそうですが……。

健全な生命がある間に一度はやってみたいものです。もし私が何かイベントで作品を出すような機会があれば、そのときはよろしくお願いします。




ここからは今回の文フリで私が購入した作品を感想と共に紹介します。



・帝都怪奇浪漫画報

(写真に映っているのは買ったものの一部。)


実は今回文フリに行こうと決めた理由でした。

この作品は数年ほど前からPixivで拝読していたもので、元々国木田独歩が好きだったのもありハマっていました。今回やっと買えて、内心狂喜乱舞。三日三晩の宴。

個人的なお気に入りは弐の「国木田独歩と縁切り坂のパラディウム」。

この巻では貰い子殺人が取り上げられているのですが、この作品を知る前に個人的興味で寿産院事件(※1)を調べていたことがあって自然と引き込まれた形です。


※1:戦後に摘発された事件。子どもの養育費として受け取ったお金を子どもに還元せず私腹を肥やし、多くの赤子を死なせたとされる。検索すると事件発覚当時の写真も出てくる。


また本作の主人公である国木田独歩の複雑な出生についてもちらりと触れており、彼の生い立ちに関する話を踏まえてもう一度最初から読むと初読とは違った味わいがあります。

独歩の子どもに対する優しく真摯な姿勢もきっちりえがかれており、国木田独歩の子どもが出てくる系統の作品が好きな人は好きな物語だと思います。

(出店者さんがずっと咳をされていたので心配です……どうかご自愛ください……。)



・『織田君の死』&太宰治アクリルスタンド(写真の右側)


たまたま発見して勢いのままに買いました。Xでは度々お見かけしていたのですが、まさかの出会い。自然主義に興味を持つ前は無頼派(新戯作派)を調べていたので、出会えて良かったと心の底から思います。


太宰のキザに決めたポーズとその実自信なさげにも見える眉や目元がたまりません。口元もへにょっとしていて可愛らしいこと。


『織田君の死』を読むのは久しぶりでしたが、戦友を亡くした太宰の深い慟哭と惜しみない拍手、それから激励、これらが挿絵によって克明に映し出されていて、短いのに心をナイフが貫通したよう。本当に買えて良かったです。私から出店者さんへ惜しみない拍手を送ります。




・御守文学カード(写真の左側)


Xで投稿をお見かけして気になっていたものでした。持ち歩ける文学。お財布や手帳、スマホと一緒に持ち歩ける文学。私はお財布に入れて持ち歩きます。

二枚買ったのですが、特に好きなのは太宰治の『葉』です。まさにカードに刻まれた箇所が好きな理由です。小さな何かを理由にして少しだけ生き延びる、そんなちっぽけでもじんわりと染み渡る温かさが胸に残っています。これを胸に抱いて今日も明日も生き延びます。






というわけで、今回はここまでで筆を置きます。素敵な空間と時間でした。イベントに関わった全ての方に感謝を捧げます。今年も残り一ヶ月、この感慨を忘れずに生きましょう。

おやすみなさい。どうかあなたの好きが溢れた夢を。