とある港湾都市に突然あらわれた派手な紫頭の男、クエンティン。
詳しい素性は誰も知らない。しかしあっという間に街に馴染み、一体どう取り入ったのか、財閥の御曹司バシリオとも親し気に話す間柄となった。
唯一バシリオを財閥の跡取りでなくただの男として気安く接するクエンティンに、バシリオも彼を「友人」と公言するようになる。
しかしバシリオの前では何の害も無いお調子者のように振舞うかたわら、彼の見ていないところで少しずつクエンティンの怪しい行動が目立ち始めた。
謎の男とのやり取り、垣間見せる狂気。
周りの人間がバシリオに進言してもバシリオは聞く耳をもたない。
そんな中、ついにクエンティンがある車から降りてきたところが目撃された。
それがバシリオの祖母であり財閥現当主であるマグダレナの乗る車であったという事実を知らされたバシリオは___。
クエンティンの本当の目的は、正体は、そしてバシリオの選択は。
衝突する中で深まるのは溝か絆か。
決して交わらないはずだった二人の男の不器用な友情の物語。
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