公開投稿
2024.03.14 20:19
リュパンが契った直後ってさ…
意志は強いけど自己肯定感が低い面もあるパンドロのことだから、リュール様に約束の指輪を賜って嬉しいのはもちろんだけどしばらくは、
「でもどうして神竜様はオレなんかを……?」
と疑問と不安に感じるのも仕方ないと思うんですよね(恐れ多いと遠慮しきりな頃)。
内々に相談したら、「神竜様のために頑張ってきた兄さんを認めてくれたってことだろ?」となにが疑問なのかわからないとばかりに妹や周りに首を傾げられて、「オレはそんなつもりで聖職者やってきたわけじゃないし……」と余計に悩みを深めてしまうけど、そんなある日リュール様にふたりきりで過ごしましょうって誘われるんですね。
「……最近、なにか悩みがあるんですか?」と、他愛もない雑談の中でふっと優しく問われたパンドロは、まずは驚き、隠せてなかったことを恥じ、心配かけてしまったことを反省し、そして正直、気遣ってくれたことがお気持ちが嬉しいわけです。
「そ、そういうことでは……オレ、悩んで見えました?」
「いえ、普段はいつもどおりに努めていたと思います。ただ、あなたをずっと目で追っていたから、気づいただけです」
「ず、ずっと……見ていらしたんですか、オレを……?」
「はい!」
そう屈託なく宣言されたパンドロは、まずは照れて、とにかく照れて、照れ倒しながらも嬉しくて仕方ないわけです。なんでこんなに神竜様が自分のこと好きなのかはわからないけど、とんでもなく神竜様が自分のことを好きなことだけはわからされるわけです。
「私が力になれることはありますか? なんでも相談してください、あなたがいつも言ってくれているように。私はパンドロのパートナーなんですから!」そう瞳を輝かせて、パンドロの両手を握って迫るリュール様。好きなひとがいる、その事実が嬉しくて尊くて大切で仕方ないのは神様だって同じなんです。
「ま、眩しくて直視できないので、オレを甘やかさないでくださいい……!」
「ええ〜無理ですよぉ……」
今にも召されそうなパンドロに、情けない声を漏らしながら譲らないリュール様。そんなやり取りを無限に繰り返していくうちに結果的にリュール様のおかげで、疑問と不安を払拭されてしまうパンドロは、いる(信仰対象に向けるのではない微笑みになる頃)。