公開投稿

2025.05.19 22:00

硝子の塔のイベスト呟き&絵の制作過程


イベスト『硝子の塔と祝福のレガーロ』を読んだ当時、双子様の死別前後で確実にもたらされた変化と同時に、スノウ様とホワイト様はそもそも昔から微妙なところで(しかし、はっきりと)性格や性質を異にしていたことについて、しみじみ考えていました。


語られる彼らの印象の一面みたいに、仮にただの「仲良しで息ぴったりの双子」のままだったなら、それはきっと「素敵だね、良かったね」で単純に終わっていたんです(「読者の目線からすると」という極太字の前置きは必要ですが……)。

それが、あわや死別という出来事のあとに魂を繋ぎ止めてしまったものだから、経歴として稀有な「実績」になってしまっている。これがかなり重要な要素なのではと思います。あえて嫌な言い方をすると「箔が付いた」が意味として近い……いわくつきの品にオークションで高値がつく(本当に最悪な表現ですね)のと一緒。「特別な双子」から、「かなり完璧な双子」になってしまったってことです。

なお、人形屋敷イベストのリラちゃんを見る私。この話は『禁忌と愛執のマリオネッタ』へと引き継いだ方が良いようなのでここまで。


その上で、《その永遠を願って》がカード名に採用されたフィガロに思いを馳せました。

ホワイト様の親愛ストで「『だから』羨んでいるんですよ」と声を掛けた彼の言葉の前後や、表情から読み取れる気持ち。この静かな台詞の温度が本当に良くて。抜き出し方によってすごく皮肉に聞こえるけれど、そういう感じではなかった。彼はただ過去のふたりの関係に固執しているのではなく、過去の彼らに完璧な姿を見ているわけでもない。それを言うならむしろ反対で……それでもふたり一緒にいてほしい、と理想を抱かずにはいられない。

軽蔑と憧れのまなざしが同一線上にあるところがあまりにも好きです。

殺し合い事件勃発の前と後で、また違う軽蔑と憧れがあり、どちらかが消えたというわけではないのですよね。変容しても、しっかりとそこに在る。


イベスト10話のスノウ様がフィガロに対して「ちょっと落ち込んでいたホワイトを気にかけてくれていたのじゃろう」と言うの、この落ち込んでいた、が何にかかる言葉なのか考えていて、やはりヴィティスが石になっていたことを指しているのだと再確認していました。

彼の精神を気に入っていて、いなくなって残念だと感じていたこと。

また、スノウ様はその様子と発言を受けて、硝子の塔に向かう前に「……」という沈黙の眼差しを向けていたことを。



以下はそんなレガーロの絵のメイキングです。




A4サイズの水彩紙に縦構図で描こうと構想を練り、とりあえずSSRの3人組を入れたかったのでどのあたりに配置しようか、どんな雰囲気を演出したいのか考えました。

今回は位置を調整するために人物それぞれを別の紙に描いて、スキャン後PC上で合成し、線画を作成。

ブローチや塔など特に細部の描き直しが困難なパーツ・要素も一つずつ下書きをして整えました。




その後、作成した下絵を本番の水彩紙に転写。紙はウォーターフォードホワイトの細目パッド(190g)です。

水張りができたら必要な線を選んで再び鉛筆でなぞります。


明るい部分は残し、暗い部分はどんどん暗く塗り込んで厚く。

私は透明水彩や不透明水彩、アクリル絵具、色鉛筆など画材を混合して使う場合が多く、例えば今回も透明水彩のみ使用する際とは異なり、最終的に明るい部分にも絵具を乗せて描き起こしています。油彩をよく触っていた頃と同じメソッドを採用していますが、特に意識して……のことではなく、自分にとっては単純にこれが一番慣れたやり方のようです。

紙の白を残すのも、白い部分には白をしっかり盛るのも好き。今回は背景部分に紙そのものの色を残しました。


全体的に薄く色がついた状態が以下。

重ね塗りに適したウォーターフォード紙、はじめは薄めに、表面を染めるようにして何度も色を重ねていきます。



この時点ではまったく形になっておらず、本当に完成できるのだろうかと頭を抱えたり、ボツかもしれないと嫌になってしばらく放置したりするのですが……根気よく粘り強く取り組んでいくと、密度が高まっていつの間にかできあがっていくのが不思議。線画までの工程はいつも単純なので迷いも少ない分、毎回「塗り方」を忘れてはうんうん唸っている気がします。

1枚ごとに新しいやり方を模索している点では悪くないものの、やはり疲れます。いつか行き当たりばったりではない自分なりのスタイルを見つけられたらな、とも思いつつ。


嬉しいことに、このレガーロの作品は最終的にとても好きだと感じられる絵にできました。

3人のブローチの付近には、友達からもらった「エビスゴールド」というホルベインの透明水彩絵の具、金を乗せています。