公開投稿

2024.09.19 03:50

簡単なドローイング制作記録


先日投稿したこちらの絵についての記録。


まほやくの1st Anniversary Book、各キャラクターのページに「表情集」が掲載されており皆の顔差分を確認することができるのですが……フィガロの〈怒り〉に設定されていた表情がとても好みだと思って。ちなみにその右横に並んでいた〈悲しみ〉も、同様の理由で印象に残りました。

〈怒り〉は眉を寄せ、少し両目を細めていながら口元は笑みの形をしています。

〈悲しみ〉でも、じっと目を凝らしてみると左右の口角がわずかに上がっていました。

なんとも判断が微妙だった〈困り〉の口元はどうかと思ってしばらく観察し、これもまあ引きつった苦笑、という点では一応「笑み」の要素を持っていると捉えても良いかなと感じています。


見る側からするとちょっと怒っている? みたいな硬めでひんやりした無表情は〈基本2〉の枠に入っているんですよね。あの顔は、別に〈怒り〉ではないと。

怒っていても悲しんでいても形式として口だけは笑っている、わりとそういう表情を作る人物なのだと実感して、改めて彼がとても好きだと思っていました。


結果、気が付いたときには机に向かっていて……



はがきサイズの水彩紙に下描きをしました。


紙の種類はアルビレオ(パルプ100%)です。

重厚な表現にはあまり向きませんが、紙の目が比較的細かく、絵の具の薄塗りと組み合わせて使う鉛筆や色鉛筆との相性が良いと個人的に思っています。消しゴムをかけてもそこまで毛羽立ちませんのでラフから直接描けます。

そこに今回はHB程度の硬さの鉛筆(三菱ハイユニ)でおおまかに下描きを行いました。

険のある目元、彼の〈怒り〉の表情でおそらく上まぶたや下まぶたの辺りにできるであろう凹凸のことを考えつつ、楽しみながら画面に頭部を収めていきます。


ある程度全体のイメージが固まったら、次はB系の硬さの鉛筆数種類と極細0.2mm芯のシャープペンシル(ぺんてる・Orenz)に持ち替えて線を整えました。


なんとなくこだわりを込めているのは毛先に向かう線の動きや、まつ毛の表現、そして軽い影のつけ方です。

特に影はバランスを見て、「実際にどうなるか」という想定より「絵として綺麗に見える場所」を重要視して限られたポイントにのみ入れていきます。うっすらと、優しく。たまに鉛筆の粉を指で押さえたり、こすったり。



そうするとこのような線画ができました。


最初の下描きと比べてみてかなり良くなっているのが分かります!!

具体的には目の形・角度と口の開き方を、アニバブックの表情集と再度見比べてみながら変えました。

これです。まさにこれ。これこれこれ。こういう風にできると、自分は一体何が好きなのかという要素をより的確に取り入れられたような気がして嬉しいです。

絵に関しては客観性ではなく、究極の自己満足を追求しています。


当時はこの時点で完成にしてしまっても良いと思いましたが、せっかくなので新しく買った絵の具を使ってみることに。


セヌリエ透明水彩のセヌリエグレーを薄く溶いて髪の毛を彩色します。緑と白がかった柔らかな灰色で、フィガロに合う。基本的には一度塗り、部分的にもう一度だけ乾いてから重ねる。

また、服は上の色にホルベイン透明水彩のニュートラルチントを混色して使う。できるだけバックランが服の皺に見えるように。

背景にはホルベインガッシュ(不透明水彩)のコバルトターコイズとグレイNo.1、ブラックを混ぜた色を広げました。海の、深いところの色です。いま描こうとしている表情と彼の心について考える。



こうして1枚のドローイングができました。

アルビレオの紙の目が綺麗に出ていて満足です。またこちらの紙に何か描きたい。


今回は以上です。