触手堕ちトキ
290
(…油断しました)
トキは暗い牢屋の中で溜息をついた。
両手は気味の悪いぬめぬめとした何かで拘束されており、身動きがとれない。
違法な賭博行為疑惑が持ち上がっているカジノの潜入調査。それが今回のトキの任務であった。
その場に即した衣装を身に纏い、敵に怪しまれる様子もなく潜入できた…と思っていたのだが、どうやら見通しが甘かったようだ。
背後から注射のようなものを首に打たれたのか、チクリとした痛みを感じたことまでは覚えている。気がついた時にはこの状況になっていた。
(まずはどうにかして外と連絡を取らなければいけませんね)
このカジノは何かがおかしい。普段であればこのような不覚を取ることはない。敵の気配に気づくことが出来なかったのは、恐らくフロアに五感を鈍らせるような薬剤が散布されていたか、もしくはそれに類似する別の何かが仕掛けられていたのだろう。そのことを早く他のメンバーにも知らせなければならない。
考えを巡らせていると、カツン、カツン、と牢屋の外からヒールの音が聞こえてきた。
「通信機器は全て回収済みよ」
声の方に目を向けると、そこには黒い仮面を被ったスーツ姿の女性が立っていた。
「ここのこと、シャーレに知られちゃうと色々と困るのよ。だからあなたには大人しくしててもらいたいの」
女性は長い髪をさっと横に払いながら、余裕のある声で話す。
このカジノの支配人なのだろうか…いずれにしても話している内容から敵対関係にあるのは間違いない。
「わたしがそのような要望に応えるとでもお思いですか」
「ふふっ、あなたに選択権はないのよ?」
そう言うと女性はスーツのポケットから小さな端末を取り出し何かを操作した。
次の瞬間、拘束された両腕から身体にぬめっとしたものが這い出してくるのを感じてギョッとする。
「まずはその子と遊んでもらうわ。その後でもう一度答えを聞かせてね。」
「…わたしに手をかけても無駄です。いずれ他のメンバーがここにきます。」
「そうなると困っちゃうから、仲良くしましょ?」
そうこう話している間に、身体を這い回る触手のようなものが胸部に到達し、バニースーツの中に侵入してくる。
「っ…!」
侵入した触手が乳首を刺激した瞬間、ゾクゾクっと快感が背中を走る。
普段では感じることのないような感覚にトキは戸惑う。薬でも盛られたのだろうか。
乳首に吸い付いた触手が収縮を繰り返す。不規則なリズムで行われるそれは、少しずつ快感を蓄積させていく。
「っふぅ…んっ…!っぁ…!」
声を抑えようと努力するが、いつも以上に高まった身体が許してくれない。その様子を見て女性は満足そうに鼻を鳴らす。
「それじゃあまた後で来るわ。たくさん楽しんでね」
トキは女性の後ろ姿を睨みながらも、自分の痴態を見られずに済むことに少し安堵した。面倒な拷問ではあるが、痛みに耐え続けるよりかは遥かにマシだ。
「んぁっ、はあぁぁ…」
女性が去った後も、乳首への執拗な攻めが続く。触手が出す粘液にも催淫作用があるのか、疼きが徐々に身体全体へと広がっていく。
乳首へと与えられる快楽に耐えることに意識が向いていたため、トキは触手が下腹部の方にも這い回っていることに気がついていなかった。
「あうっ!」
唐突にクリトリスへともたらされた刺激に、思わず声を上げる。
淫核に吸い付いた触手はそのヒダをゆっくりと蠢かせながら収縮を繰り返す。
乳首と同時にもたらされるその快感に、ついに身体が限界を迎える。
「っぁ!っあ!っんうううっ!!」
蓄積されたものが解放され、全身がビクビクと跳ねる。
触手は絶頂を感知したかのように動きを止めたが、催淫によるものなのか、なかなか引いていかない快楽の残滓に息を上げる。
「はーっ…はーっ…?」
想像以上に過酷な拷問かもしれないと辟易していると、今度は触手が耳の中へと侵入してきていることに気づく。
体内に異物が入り込んでくる不快感と、何か致命的なことが起きようとしている事への予感で、トキは初めて恐怖を覚え身体を震わせた。
「まってくださっ…あっ?♥」
しかし恐れを感じたのは一瞬のことで、次の瞬間それは快楽で塗り潰されていた。
耳の中で触手が動く度、直前に感じていたあらゆる感情が全て幸福へと書き換えられていく。
「あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥」
乳首とクリトリスに巻き付いていた触手も再び動き始め、全身に甘い快感が走り続ける。
(へぁ?♥ 助けを呼ばないとっ?♥ なんで?♥ 先生?♥ たすけてっ♥)
直接脳をいじられ最早思考もままならない中、必死に自我を保とうとするが、それも徐々に幸福の渦に飲み込まれる。
焼けるような快楽の連続で、次第に意識が薄れていく…
トキが最後に思い浮かべたのは、シャーレで過ごした先生との日常だった。
----------------------------------------
カツン、カツン、と牢屋の外から音が鳴り響く。
「…どうかしら。わたしたちと仲良くしてくれる気になった?」
黒い仮面の女性がトキのトロンとした目を見て口角を上げる。
トキは惚けた顔で、その言葉に応えた。
「は…い♥ 飛鳥馬トキは…貴女を完璧に補佐することをおやくそくいたします…♥」
白亜の予告状、メイドもバニーも可愛くて最高のイベントでした。
Twitter: https://twitter.com/eploov
Misskey: https://misskey.io/@eploov