公開投稿
2025.05.25 20:00
【5/25 CCO展示】マルイゾにあてられるモブ兄貴のお話
長らく遠征で留守にしていた兄弟たちが帰還した夜、モビーでは盛大な宴が開かれていた。夜も更けてくると、寝落ちするヤツらか、まだまだひたすら呑み続けるヤツらに二分化される。
いつもなら後者に入るはずのおれは、この日は気まぐれに大浴場へと向かった。こんな時間に風呂に入るヤツなんてまずいないだろうと思っていたが脱衣所の扉に手をかけると中から話声が聞こえてくる。それが弟分であるマルコとイゾウの声だと気づいて、何となくおれは戸を開けるのを躊躇った。
二人が恋人同士であることはオヤジをはじめ船公認だ。付き合い始めて五年は過ぎているはずだがアツアツぶりは健在で、手を繋いだりキスを交わしたりしているのを度々目にすることがある。今回はイゾウが遠征メンバーに入っていたこともあり、久々に二人きりでゆっくり入浴を楽しんできたところのようだ。服を着て出てくるまで待ってやるかと思ったその時。
「あっ……ん、ちょっと待て、マルコ……」
と、どう捉えてもエロいイゾウの声が聞こえてきて雷に打たれたかのような衝撃を覚えた。
今まで幾度も二人がイチャイチャしてるのを見てきたが全て健全な範疇であり、何となくそういう生々しい行為とは結びつかなかった。
(いや、でもそうだよな……あの二人だっていつまでも子供じゃないし……恋人同士なんだからそりゃセックスくらいするよな)
「お前、いつも遠征から戻っても風呂入るまで碌に触らせてくれねェんだからよい……ちょっとくらい良いじゃねェか」
「部屋まで待て」
「待てねェ」
切羽詰まったマルコの声に続いて、ちゅくちゅくと水音が響き「ん、っ」と鼻にかかったイゾウの声が漏れる。舌を絡めたいやらしいキスをしているに違いない。衣擦れの音、肌を撫でる音、粘膜を擦り合わせる音……見えない分聴こえてくる音という音が想像を掻き立てて、おれは思わず身体を丸めた。身内の、しかも男同士のこんな場面に遭遇してしまったというのに股間が痛いくらいに反応している。
「湯上がりのお前がこうして浴衣一枚羽織って、ゆるーく髪上げてんの、最高にそそるんだよなァ」
「あっ……こら、見えるとこに跡つけるな」
「いつもの髪型にすれば隠れて見えねェよい」
「だからって……こんなとこで誰か来たら、」
「ちょっとだけ。おれのもうこんなガチガチだし、お前だって濡れてるし」
ガタッという音が響いた後、押し殺しきれないイゾウのあえかな声と、マルコの荒い息遣いが断続的に聞こえ出す。
(〜〜っ! あ〜もうダメだ!)
痛む股間を抑えながらトイレに駆け込んだ。恐らくおれのその足音はマルコとイゾウにも聞こえてしまっただろうが、そんなことを気にしている余裕もなかった。腹につく程硬く反り返った欲を取り出し、数回擦っただけで白濁を吐き出すとその場にズルズルとしゃがみ込む。
自分の中で、得体の知れない扉が開かれてしまった音がした。
◇◇◇
翌日、マルコとイゾウが甲板で寄り添って笑っているのを見つけた。
あの後、こっそり大浴場に戻ってみるとそこにもう二人の姿はなかったから、部屋に戻ってさぞかし濃厚に愛し合ったのだろう。その余韻に浸るかのように甘い視線を絡め合っている。人の気も知らずに良い気なもんだ。
立ち去ろうとした時イゾウの黒髪が風に靡き、白い頸にマルコが咲かせた赤い花を見つけてしまったおれは天を仰いだ。