公開投稿

2025.06.23 12:19

初夜翌日のマルイゾ(お互いが初めての相手)の話

「イゾウ、おれ当番で朝飯の仕込み手伝わなきゃいけねェから一旦船に戻るよい」

「んん……今何時だ?」

「四時。手伝いが終わったら迎えに戻るから寝てていいぞ」

「……ん、わかった……」


 薄ら開いた目を閉じて再び眠りに落ちていくイゾウの額にキスを落とし、愛してるよい、と呟いてマルコは部屋を後にした。

 宿を出るとまだ日が登る前の薄暗い街を突っ切って港に停泊しているモビー・ディック号を目指す。朝靄で湿った空気で肺を満たすと、自然と緩んでしまう頬を両手で二回パンパンッと叩いた。


 昨晩、初めてイゾウを抱いた。


 つきあい始めてからこの日のためにと二人で貯めていた小遣いを叩いてそこそこ良い宿を取り、誰の目を気にすることもなく挑んだ初夜。暗がりに浮き上がる雪のように白い裸体、艶やかな濡羽色の髪、すっかり溶けて潤んだ大きな瞳。それらを見つめながらゆっくり埋めた己の猛る欲が根元まで熱い媚肉に包み込まれると、歓喜と快感で思考回路が焼き切れる。

 ――ああ、やっとだ。

 本能に抗わずに雄の律動を刻むと、組み敷いたイゾウは微かに眉間に皺を寄せて、押し殺しきれない声を漏らして喘いだ。その艶麗さと言ったら――。


***


「おい、マルコ! そんなに剥いたら食うとこ無くなっちまうだろうが!」


 昨晩の記憶に浸っていたところを兄貴分にどやされてハッとすると、手の中のジャガイモが栗の実ほどの大きさになっていた。


「す、すまん!」

「ったく仕方ねェな」


 先程からそわそわ、ニマニマしているマルコの様子からして何かあったのは一目瞭然だ。察しの良い面々はイゾウと進展があったのだろうとわかっていて、助け舟を出してやる。


「マルコ、もうほとんど終わったから大丈夫だ。あと倉庫から水の樽持って来たら終わりで良いぞ」

「え……良いのか⁈ ありがとよい!」


 突如世界から祝福されたかのような眩しさを覚えたマルコは、言われた通りに樽を厨房に運び込むとすぐさま不死鳥に姿を変え、イゾウが待つ宿を目指して空を切った。

 一刻も早く、もう一度あの温かな身体を抱きしめたかった。同じ石鹸を使っているはずなのになぜか自分とは全く違う良い匂いがするイゾウの身体。白い頸に、滑らかな太腿、滝のように流れる髪、そして甘く柔らかな唇……その全てをマルコの全細胞が欲している。まるで今イゾウと触れ合っていないことに対して全身が抗議の声を上げているようだ。


(セックスってすげえよい)


 目的の一室に辿り着き、獣化を解いて窓から入り込むと、視界に飛び込んできた無防備な恋人の寝顔に容赦なく心臓を鷲掴まれた。


 圧倒的に愛おしい。


 後ろ手に窓を閉めると、マルコはそっとベッドに歩み寄った。