公開投稿

2023.10.22 00:00

推しに狂って苦しいので心境を吐露する【ときメモGS3】

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特大スランプ期間に突入したので、ここしばらくは昔の自分が好きだったものに触れに行く機会を意識的に作っていました。

乙女ゲームは自発的にプレイもしますが、ほとんどが妹の持ち物である故にあまりやり込んだことがなく。

実況動画を見て久しぶりに遊びたいなあとこぼしたところ、爆速でソフトが飛んできました。

貸してくれてありがとう妹


ときメモGSシリーズは一応初代をプレイ済み。

今回遊んだのはGS3で、この記事はほぼ通して『桜井琉夏』一途ルートの感想です。

ネタバレもあります!



目次

1.桜井琉夏

2.ノーフューチャー

3.失恋



1.桜井琉夏

GS3の舞台は「はばたき市」という架空の町。幼い頃に市外に引っ越したヒロイン(主人公)が、高校入学に合わせてはばたき市に戻ってくるところから始まります。

入学式の前日、町を歩いているうちに道に迷い、辿り着いた教会で琉夏と再会します。ヒロインと琉夏は幼馴染で、昔は琉夏の兄と三人で一緒に遊んでいた仲でした。

(兄については好きなキャラなのですがこの記事ではほとんど触れません)

彼、今作のメインヒーローの一人なんですけどガラ悪いんですよね いいよね


桜井琉夏というキャラクターを一言で表すなら、「掴みどころがない感じ」。飄々としていていつもニコニコ。

作中で「ユニコーンとかドラゴンとか、そっち系の美しさだよね」と表現される、所謂人外めいた美貌をしている。

スリリングな遊びが大好きで、校舎の二階から飛び降りたり、他校の不良と喧嘩したり、原付を(おそらく法定速度を無視して)かっ飛ばしたり。

一方で生活費を稼ぐための花屋のバイトは誠実にやっていたり、クラシックや教会音楽が好きだったり、桜や夕暮れ時の海を「きれいだ」と言ったり、穏やかな時間を愛する一面も持っています。


性格の穏やかさと、進んで危険なことをしたがる行動のアンバランスさこそが桜井琉夏と言う少年を語るに外せないところで、ルートを進めていくうちに彼の“生”に対する考え方が見えてきます。



2.ノーフューチャー

「手に入れたらあとは失うだけ。だからいらない」

「スリルを感じてないと生きてる実感を得られない」

「バカなことやって嫌われて、遠ざけられた方が安心する」


作中での彼の言葉を大まかなニュアンスでまとめたのが上の台詞です。

常に喪失と隣り合わせにあるような仄暗さが、端々に現れていますよね。

人の頭を支配し、息すらできなくさせてしまう類の感情に、彼はもう随分長い間向き合っている。

多くの人が考えることをやめ、見て見ぬふりをしている問題でも、彼にとっては何より重要なことで、正面から見つめて考えざるを得ない。

だからあえて自分の命を危険に晒すようなことをして、頭を空っぽにすることで、“生きてる実感”を得ているのかもしれない。


「将来の夢なんてない」

「すぐ死にそうってよく言われる」


彼の空虚さもまた作品の中で強調して語られるところです。自身の命に価値を感じていない。そんな人だから周りに心配されるんだけど、そのお節介を受け止める容量もない。

もしかしたら空っぽなのではなく、物を取り出す隙間もないほどにギチギチなのかも。整頓されているけど詰め込まれすぎていて取り出せない本棚みたいな。


同居しているお節介で不器用な兄が唯一彼を繋ぎ止めているのでしょうが、自分の存在が兄の自由を奪い縛ってしまっていることにも気付いている。

そこに颯爽と現れ彼の感情をかき乱してぐちゃぐちゃにし、本棚の中身を取り出して広げて見せたのがヒロインだったのでしょう。


終盤、彼が今の考え方を形作る原因となった出来事について、教会でヒロインに語ってくれるイベントがあります。悲しい記憶に向き合った上で、主人公に感情を吐露しつつ静かに祈りを捧げるスチルは実に美しいものでした。

心の整理を付けられたんだ、そして彼には辛い気持ちを受け止めてくれる友人(ヒロイン)がいるんだということにひどく安心し、ああ彼は大丈夫だ、これから少しずつヒロインや兄や周りにいる彼を想ってくれる人々のため、地に足を付けて生きていく覚悟を決めていくんだろうと感じました。



3.失恋

GS3はおそらく三角関係の描写に力を入れた作品で、一途ルートだけを見て満足するのはもったいないことなのかもしれませんが、それでも「辛い思いをしてきた彼をこれ以上傷付けるようなルートは歩みたくない」と思ってしまうほど没入した楽しい作品体験でした。

一途ルートもほんのり三角関係でしたしね。


一方で湧き上がってくるモヤリとした感情。

批判をしたいという意味ではなくて、夢女の性みたいなもので素晴らしいシナリオとキャラクターに触れるとついつい「私ならこのシーンで彼にこういう言葉をかける」とか考えてしまうのですが、残念ながら彼が信頼して心を預けたのはあくまでヒロインであって、プレイヤーである“私”ではない。

あくまで傍観者でしかない“私”を彼は知らないし、そもそも自分が彼を支えられる人間であるかと思うと全然違うから、歯がゆい思いを消化しきれず勝手に失恋したような気分になっているのが今の状態です。

文章を作ることですっきりしてくれないかなと思ってたけど、まだしばらく囚われたままかもしれない。




なんだかんだ幻想的で幸せな恋愛モノが原点ですね。

辛い人生の中にある、ほんの僅かな幸せ、期限付きの青春みたいなものがすごく好きです。