創作

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【とある人間の観察雑記】

洞窟の奥にひとり浮いていたところを発見した。 筆者に警戒または恐怖心を抱いている様子は無い。むしろこちらを興味深そうに見つめている。手を伸ばし近付いても大丈夫そうだ。 彼の身体を触らせてもらった。しっとりとしてなんともいえない弾力がある。幽霊ではなかった。


彼(彼女?)との意思疎通を試みたが、こちらの言葉を理解する素振りは見られなかった。 ふと彼の口を覗くと、口内のはずがどこまでも遠く鮮やかな青色が続いていた。まるで時間を遡って古代の青色を見ているかのような錯覚を憶えた。…彼のことを"スマルト"と呼ぶことにした



この暗い鍾乳洞の中で彼はずっとひとりだったのかもしれない。彼と私だけの特別な時間を秘密にしておきたかったが、このままでは孤独ばかりの彼を気の毒に思えた。 …私の良い友人たちをここへ招き、ささやかな宴を催そう。彼らもきっと、スマルトを気に入るだろう。

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