公開投稿
2023.09.29 18:00
2023年9月ハンガリー旅行記 2/8
2日目
朝早くからホテルを出て、Székesfehérvárという町に行く。私の耳にはシーケシュフェヒールバールと聞こえるし、文字の読みからしても発音するとしたらそうなのだろうと思うが、グーグルマップやガイドブックではセーケシュフェヘールバールとなっている。というわけで違和感があるけれど、セーケシュフェヘールバール書くことにする。
南駅へ行き、地下鉄のホーム入り口近くのインフォメーションセンターで切符を買おうとすると、上で買うように言われた。ちなみにハンガリーのインフォメーションセンターでは、要件を選んで番号札を取ってから受付に行くのだが、要件選択を英語でやってもなぜかカウンターではハンガリー語で話しかけられる。多分東駅なら英語で対応してもらえる。
ハンガリーの地下鉄について補足しておくと、日本のような自動改札機はなく、下りのエスカレーターの入り口手前に切符の打刻機があるだけだ。切符を買った人はこの打刻機を使い、私のようにトラベルパスを買ったか、定期を持っているか、オンラインチケットの人はとくになにもせずに電車に乗れる仕様である。ときおり打刻機付近や車両の中で巡回があるので、トラベルパスについている二次元コードを見せる。これはメトロ・トラム・バス・そのほかの鉄道で共通の仕様となっている。
階段で地上に上がるとプラットフォームが見えて、列車がいくつか停車していた。券売機で切符を買う。駅名を入力すると、表示される候補にはSzékesfehérvárとSzékesfehérvár Palyaudvárがあった(palyaudvárは鉄道の駅のこと)。グーグルの経路では降りる駅はSzékesfehérvárとなっていたが、一応隣の券売機を使っていた人に聞いて切符を買った。私は2万Ft札を崩すために現金で購入したが、クレジットカードを使うこともできる。
列車は自由席で、適当なところに座る。グーグルによれば一時間ほどで着くのだが、改めてチケットを見れば、
Érv.:2023.09.16 08:30
2023.09.16 12:29
となっていた。
南駅からセーケシュフェヘールバールへの片道切符
érvényの略で有効時間を示す印字なのだろうが、知らなかったので近くにいた人に聞いた。ネットが使えるんだからアディス辞書で調べたら良かったのに……。
アディス辞書
セーケシュフェヘールバールの中心部へは駅から離れており、20分ほど歩いた。この時間帯は曇っていたこともあって寒く、寒暖差におかしくなりそうだった。
独:wunderbarと洪:bárを掛けた飲食店
面白かったので撮った。
歩いていると、前を行く人のリュックに、僕のヒーローアカデミアの主人公のアクキーがぶら下がっていた。ホテルの内線電話機はパナソニック製だった。この旅行のあいだにラーメン店や、NARUTOのキャラクターのTシャツを着た人、武士道のタトゥーを入れた人なども見かけた。ユーラシア大陸の西のほうでも日本を身近に感じて不思議な感じがした。
聖イシュトヴァーン博物館を目指して歩くも、途中から道が全然分からないし、ガイドブックに載っていた城壁もどれだか分からないしで、そこらの人に聞くことにした。謎の交通規制により道路にはバリケードが設置されていて歩行者天国となっており、そのバリケードの一つの前に立っていたお兄さんに声を掛ける。博物館の場所を教えてもらって、城壁の中に入ることに成功した。
セーケシュフェヘールバール
写真が下手すぎて自分の指が映っているし、曇りなので映えなくて残念だ。撮影後に確認する癖をつけたい。
博物館は入口が微妙に分かりづらく、入ってから博物館ですか、などと間抜けな質問をした。学生証を持っていなかったのに学生料金で入れてもらえた。ちなみにタッチ決済できないカードだと分かると現金での支払いを要求された。
博物館の一階は軍の音楽隊にまつわる展示で、二階は絵の展示だった。二階の展示のタイトルは覚えていないのだけれど、これだと思われる。
Munkácsy Székesfehérváron – Válogatás Pákh Imre magángyűjteményéből | Szent István Király Múzeum
一階の展示には楽器や軍服のようなもの、銀器、サーベルなどが並んでおり、見ているだけで楽しかった。ガラス越しとはいえ、楽器をあんなに近くで見る機会は、私にはほとんどなかったと思う。箱入りの決闘用ピストルのセットなんてものまであった。
二階の絵は全体的に暗い雰囲気で、雲の表現がすごく好きだった。写真を撮っている人もいたが、私は撮らなかったのでここで紹介することはできない。ウィキペディアに作者についての日本語の記事があったので、リンクを貼っておく。
ムンカーチ・ミハーイ - Wikipedia
キリストが、椅子に座った男性の前に引き立てられている場面を描いた絵を眺めていると、展示室の監視員にハンガリー語で声をかけられた。早すぎてなにも聞き取れなかった。多分簡単でも不意なハンガリー語は全然聞き取れないし、私は椅子に座っている男性の名前を思い出すために、脳内で使徒信条を唱えていたところだったのだ。彼は英語はできないらしく、私もハンガリー語でゆっくり簡単に話すようにはお願いしなかったので、結局なんの用だったのかは分からない。椅子に座った男性について聞くと、ピラートシュだと教えてもらえた。
ピラト - Wikipedia
ウィキペディアに載ってる二番目の絵が、ちょうど私がこのとき見ていたものである(ピラトの前に引き出されたイエス(1881年、Mihály Munkácsy))。ピラートシュと聞いた瞬間はそんな名前だっただろうかと思ったが、ポンティオ・ピラトのことだと分かってすっきりした。どこから来たのかを聞かれ、日本からだと答えておいた。外国人観光客は少ないのかもしれない。
絵が気に入ったのでポストカードが欲しかったものの、日本の美術館のように絵をなんでもかんでもポストカードにするわけではないらしかった。
次に聖イシュトヴァーン博物館の向かいにある、黒鷲薬局博物館へ行った。この日は無料だと言われた。18世紀中頃に開店したという当時の様子が公開されていて、高い棚の上から下まで、古い薬の瓶が並んでいた。どうしても日本人なので、地震が起きたら大変そうだと思ってしまった。薬師の行方執筆前に知っておきたかったほど壮観だった。
観光客が見受けられたが多くはなく、メインの通りから一本それると人通りは少なくなった。
路地
いつの間にか空は晴れていた。
おもちゃ博物館にも行った。民家をリノベーションしたのか、聖イシュトヴァーン博物館以上に入口が分かりづらかった。ここも無料の日だった。受付のお姉さんがドイツ語訛りの英語で館内の説明をしてくれた。おもちゃ博物館には人形が多く展示されていた。私はリカちゃん人形を持っていないが、多分大きさはそれくらいか少し大きめで、もっと頭身を低くして体型を立派にした感じのものが多かった。二階には手に取って読める絵本が置かれており、何冊かに目を通してみた。絵が少なくて文字が多かった。
ちなみに階段の場所が分からなくて受付に聞きに戻ったら案内してもらえたのだが、確実に「Come」ではなくて「Komm」と言っていたと思う。聖イシュトヴァーン博物館の受付の人も支払いのときに「(カードを)Bitte」と言っていたので、wunderbárという例もあることだし、地域的に英語より先にドイツ語を学ぶ人が多いのかもしれない。
Saint Stephen's Basilica
ベンチに座ってスーパーで買ったチューロー・ルディ(チョコレートでコーティングされたカッテージチーズのお菓子で、めちゃくちゃ人気らしい)を食べ、そのあたりを歩き回って満足した。
お昼には城壁の外のスーパー前にあった屋台でラーンゴシュを買った。
Lángos
一緒に写っているのはハンガリーのVtuberのYadokari Karakou(ヤドカリ殻腔)ちゃん。まあこのサイズが出てくるとは思わなかったよね。
実のところ、ラーンゴシュの存在は知っていたが、どういうものなのかよく分かっていなかった。揚げパンで、にんにくが効いていて、もちもちしていておいしかった。普通サイズのプレーンランゴシュを買ったものの、少し大きかったし揚げパンをプレーンで食べるのは中々きついものがあった。サワークリームやチーズをトッピングするのが一般的らしい。確かにそうするべきだと思った。
駅に戻る途中、中心部へ向かう際に見た大聖堂に入ってみた。グーグルの言うところによると、Prohászka Ottokár Memorial Churchという名前の教会らしい。セーケシュフェヘールバールの司教プロハーシュカ・オットカールにちなんだ教会のようだ。教会の中にいた人に話しかけられて、この教会や内部の像、壁の絵の説明などを受けることになった。カトリックかと聞かれて違うと答えたが、全然構わないから聞いてほしいとのこと。
ローマにオリジナルがあり、エステルゴム大聖堂(もともと初代国王イシュトヴァーン一世が戴冠式をした教会)よりも高さがあるらしい。講壇に上がる入口の上部のレリーフは特別な石でできていて(大理石かもと思ったけれど分からない)、モチーフは重要な葉っぱであるとかなんとか。聖母マリアが幼年イエスを抱いている像について、創世記に女は男から作られたとあるからどうのこうのという話もされた。私が異邦人だからか、やたらと色々なことを確認されて丁寧な説明を受けることができた。
英語だったので聖母マリアがメアリーで一瞬戸惑ったり、ハンガリーの聖人についての説明があったりしたものの、ローマカトリックや旧約聖書、ハンガリーの歴史などの予備知識があったので、なんとか部分的に理解することができた。英語に慣れていないし、聞いているあいだメモも取っていなかったので大方忘れてしまった。悲しい。宗教の授業がある学校に通ったことがあれば、なにか違っていたかもしれない……。まあそもそも英語があまり得意ではないので、聞いたことがどれくら正しいかも分からないのだけれども。
Székesfehérvár駅にて
続く