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2023.10.06 18:00

2023年9月ハンガリー旅行記 7/8

7日目

実質的な最終日、市内観光の日だった。朝から活動したいタイプなものの、博物館が開くのは軒並み10時からなので、まずは中央市場へ行く。いい感じの個包装のお菓子を求めて地下のスーパーへ行き、バイト先と部室に差し入れるおみやげを調達した。箱にはハンガリー語で商品名や成分表示などが書かれていたが、よく見るとドイツ産だったし、箱に印刷された小分けの袋の写真も、ドイツ語でなにか書かれていた。黙っていれば分かるまい。ホテルに一度戻ってお菓子を置き、民族博物館へ向かう。


民族博物館ではチケットを買おうとすると、種類を選べと言われた。そんなことを言われたのが初めてだったのと、一覧を見ても違いが分からなかったので、結局チケットを買わずに建物を出る。せめて常設展と企画展くらいなら選べたのだが、とりあえず私にはなにも分からなかった。


Buy tickets | Museum of Ethnography


展示ごとにお金がかかるタイプなのかもしれない。


諦めた先で向かったのは国立博物館だ。大きく分けて三つの展示室があった。


はじめに銀器の展示を見た。古い時代の質素な感じのカトラリーから、絵や細工が施されている豪華なものまであった。ガラスケースに入っており、ケースの周りを回って眺めることができた。ある大きな皿の絵の説明文において、Achillesが誰か分からなくてハンガリー語を見るとAkhilleuszとあり、アキレウスのことだと分かった。歴史上の人物や地名は日本語でしか情報を入れていなかったので、英語よりもハンガリー語を見たほうが分かりやすいことが多かった。


Silverとあるのに照明のせいで金にしか見えないものもあった。


ハンガリーには有名な磁器の産地があるからか、天井まで高さのある棚が部屋中に設置された展示室まであった。棚の中にはティーカップや皿が並べられていて、どうしても日本出身なので地震が少ないからできることだなと思った。


ひたすら陶器が展示されている部屋


次の展示は、ハンガリー平原周辺の石器時代(多分)の様子や古代ローマにまつわるものだった。日本では石器時代というと装飾品は翡翠や貝殻を連想するが、金の装飾品が大量に展示されていた。小さい女の子がガラスケースの前に駆け寄っていたのが印象的だった。キラキラの引力ってすごい。


ここでローマ時代の生活雑貨や身飾品を見ることができるとは思っていなかったので、かなり楽しく過ごすことができた。


階段を登って最後の部屋へ向かうと、ハンガリーの歴史の展示だった。はじめの部屋には軍服や勲章が多数展示されていた。軍服を360度見る機会などそうそうないので、背面の写真を取っておいた。


ハンガリーには社会主義体制だった時代があり、その頃の展示もあった。まさかスターリンの等身大の像を見ることになるとは思わなかった。ユダヤの星や、鎌と槌のシンボルが切り抜かれた旗は、ハンガリーで起こったことを適確に示していた。クーデターでナチス・ドイツに乗っ取られた挙句に、ソ連に占領されるとか散々すぎる。


ハンガリーは1989年まで社会主義国家であり、ベルリンの壁は同年に崩壊している。私の生まれた頃にはドイツは当然のように統一されていたし、ソ連でなくロシアが存在していたけれど、時代が少し変わってから、まだほんの三十数年しか経っていないのだと思うと不思議な感じがした。いずれも平成の出来事で、私の親世代はベルリンの壁崩壊の報道や、ソ連崩壊の報道をテレビで見ているということになるのだ……。


恐怖の館という歴史博物館に行きたかったものの時間がなかったのだが、とりあえずここで色々と見られたので良しとした。


ほかにもフランツ・リストのピアノや、王家にまつわりそうな感じの宝飾品、古い新聞、19世紀の中流階級の女性が身に着けた衣服、色々な展示が雑多にあった。


相変わらず導線がないので、既に見た展示室をさかのぼって博物館を出た。


パラチンタというクレープは絶対に食べておくべきだと思ったので、昼食はそれにした。適当に頼んだらカプレーゼと鶏肉のローストだった。ちなみにパラチンタの大抵のメニューには、ベジタリアン、チキン、ポーク、ビーフの選択肢があった。



巻いてあるタイプのものが食べたかったのだが、こういうのもあるとは知らなかったので逆に良かった。カプレーゼは普通にカプレーゼで、鶏肉も薄味派の私にとって普通においしい鶏肉だった。卓上に調味料が置いてあり、欲しい人はセルフでかける形式かもしれない。パラチンタは端がぱりぱりで、中心部のほうはもちもちしていた。少し量が多かったが、なんとか完食した。


それからバスに乗って児童書店に行った。ドアの開け方が分からず四苦八苦していたところ、通りがかった人がボタンを押すのだと教えてくれた。日本のボタンで開ける自動ドアは、ドアそのものにボタンがついていることが多いが(というか私はその形式しか見た事がないが)、ボタンはドア横の壁の、腰ほどの高さのところに設置されていた。大きさも文庫本くらいあった。分からないよ。


入ると「Szia」と挨拶されたのでつい同じように返したが、カウンターには二人いた(相手が二人以上いるときはSziasztokと言う)。はらぺこあおむしのハンガリー語版が欲しかったものの、縦向きのラテン文字を読むのに苦労して全然見つけられない。挨拶でミスったからか単に東アジア人顔だからか、店員さんが英語で話しかけてくれて、なんとか本を入手することができた。ハンガリー語でいいのかとも聞かれた。


A telhetetlen hernyócska


タイトルからいきなり知らない単語のご登場だったが、日本語版を知っているので知らない単語は意味を推測しながら読めた。辞書もあるからばっちりだね。


甘いパラチンタも試しておきたかったので、ガイドブックに載っている店に行ってみた。


Kakaó palacsinta


生地を電子レンジで温め直す形式だった。時間に余裕があるなら別のところへ入ったほうがいい。


それから動物園に向かった。着いたのは16時半ちょうどで、閉園一時間前だからか、チケットの販売は終わりだと言われてしまった。


Fővárosi Állat- és Növénykert


あと五分早く着いていれば……! せっかく行ったので入口の写真だけ撮った。


続く