公開投稿

2024.12.07 18:00

装丁のお話 その1 〜No.18 「ユーダリル1 Canon 」〜

 2024年11月23日、梅田スカイビルで開催された「アイツのメガネに恋してる大阪7」に参加されたみなさま、お疲れさまでした。また、弊スペースにお立ち寄りくださりありがとうございました。


今回の新刊、「ユーダリル1 Canon」(原作軸再録集)ですが、いろんな方から装丁についてお声がけいただいたこともあり、備忘録のためにまとめてみようと思います。

早速仕様をば。


表紙:オフメタル165㎏ 銀

表紙印刷:オンデマンドフルカラーCMYK+白先刷り(白押さえ)、マットPP

遊び紙:タント70kg M-64 (前後)

本文用紙:クリームキンマリ70kg

小口染め:茶

糸しおり:緑+紫(表1側に緑、表4側に紫)


完成したご本がこちら。


印刷はくりえい社さん(*1)です。


元々表紙にはナチュラル系のざっくりふわっとした紙を使おうかと思っていたのですが、フェアでメタルペーパーが選択できると知り、180度方向転換してこんな仕上がりになりました。

小口染めと糸しおり(スピン)って同時に加工できるんだ? と思ったみなさま、お仲間です。どちらかできたらなと見積もりをお願いしたら、お返事に両方選択する場合の納期が記載されていまして。両方…?となって念のため確認したら、できますというお返事だったので両方していただきました。すっかりできないと思い込んでいたよ。


できた! 



ちなみに糸しおり2本、つける順番も指定できました。(そんなことまで考えてなかった)

他社さんだと、小口染めはクリアPP表紙のみ対応(はみ出したインクを拭き取るためらしい)がほとんどなのですが、くりえいさん、PPなしの特殊紙表紙(紙によって向き不向きはある)でも小口染めしてくださいます。


こちらは遊び紙と本文。


遊び紙は落ち着いた色にしたくて、タントで手配していただきました。

今回はあまり厚みをだしたくなかったので本文は書籍用紙に。書籍用紙は久々に使いましたが、ラフ系の紙に比べると端正に見えて綺麗。ラフ系も軽くてめくりやすくて大好きですが。


表紙はメタル紙の銀なので金に見えるところは白押さえなしで明るい黄色を乗せています。金インクより金っぽい。このあたりはスターブックスさんのメタリック印刷(*2)を参考にしました。混色サンプルも販売されていてわかりやすいです。もともとの紙色が出てるのは、タイトルの枠部分のみ。メタル紙初めてだったので、どんな風に仕上がるか不安もありましたが、思った以上にヴィンテージ感が出て面白い仕上がりでした。白押さえの濃淡も試してみたかったのですが、あまり差がないという話もお見かけしたのと、なにせメタル紙が初めてなので今回は100か0です。次回チャレンジすることがあったら白押さえのグラデーションとか試してみたい。

今回マットPPを選択したので、メタル紙ですがギラギラした光沢ではなく、落ち着いた雰囲気に仕上がっています。



いつも綺麗に刷ってくださるくりえい社さん、ありがとうございました。

背表紙の文字位置も綺麗。


装丁ですが、この仕様でお願いしよう!と思って入稿しても、それは無理ですと言われることもあるので、疑問や不安がある場合は事前に問い合わせした方がベターかなと思います。入稿後に無理って言われると選択肢が限られますし、他の印刷会社さんなら希望の装丁ができることもあるので。

実際の印刷会社さんへの問い合わせ内容に関しては、オープンにすべきでないかなと思うのですが、どこの印刷会社さんもど素人にとてもわかりやすく、丁寧に説明してくださるところばかりです。

何度かご本を作ってみると、これはできるけどこれはできないだろうなというのがわかってはくるのですが、今回のように先入観でできないと思い込んでるケースもあるので、知識のリニューアルも必要だなと感じました。装丁沼楽しいね!


最後に締め切りについてですが、出たいイベントの1ヶ月前が締切日だと思ってスケジュール組むと、どんな装丁もやりやすいんじゃないかなと思います。


ざっくりですが誰かの何かの参考になれば幸いです。

みなさま、よき同人ライフを〜。



〈参考リンク〉

*1)くりえい社

*2)スターブックス メタリック特設ページ