逆神災禍

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「結局のところ、所詮、私は平和にあるべき英雄ではなく、災禍にあるべき魔王だったのだ」


「ならば私は、あるがままに魔王である」


Saika Sakagami


 さかがみ さいか。

 B国の将軍として、多くの国を戦乱の渦へと引き込んだ人物。国家陸軍少将。

 その軍事的手腕から『赤い死神』『白銀の魔王』と恐れられた女。

 女性らしくない体格と力の持ち主だが、これは彼女が最初の戦場で女性としての器官を失ったことに起因する。

 彼女自身はむしろ都合が良いと捉えている。


 世界大戦が始まる日まで、彼女は平凡な女性だった。

 自身の進路としておおよそ女性らしからぬ軍隊を選んだ以上、全くの普通とは決して言えないかもしれない。

 しかして、当時の彼女は危険思想など持ち得ない、軍に属する真の意味を理解しているとは言えない、どこにでもいる若人であった。

 しかし、全ての始まりである戦場をきっかけに、彼女は変貌した。

 A国の余波を受けて始まった小さな小競り合いの、その戦場の一角。当時は誰も世界を巻き込む大戦になると思いもしなかった、あの日。

 彼女はその戦場で死にかけ、一時は行方不明になりながらも、無事生還した。

 以来、彼女は人が変わったように戦争を求めた。

 戦争の兆候あればそこへ赴き、戦火を煽り、戦渦を広げ、華々しい戦果と惨たらしい戦禍を高く積み上げた。

 瞬く間に彼女は陸軍の中で上り詰め、最終的に少将という地位に就任した。

 そして瞬く間に戦渦は広がり、世界を焼いた。


 なぜ彼女が豹変したのか。

 なぜ他国を巻き込み、世界全土に戦乱を広げたのか。

 なぜ彼女は戦争を求め続けたのか。

 処刑台で彼女が何を語るのか───きっと誰もが耳を傾け、その答えを待っている。







 世界大戦が起きるまで、この世界は平和だった。

 満ち足りていた。

 死はどこまでも遠く、生は疑うまでもなくどこまでも続いていて、人類をおびやかすものなど一つもなかった。


 それ故に、世界は停滞していた。

 みんなが満足していたから、それ以上を求めなかった。

 だから、進化がない。

 進化がないから繁栄もない。

 繁栄がなければ、人を待つのは衰退ばかり。

 人類が称えた平和とは、人の魂を腐らせる毒でもあったのだ。


 ところがどうだろう。

 死を前にした同志たちは、平和な日常では考えもつかないほど飛躍的な成長を、戦場で見せた。

 あるものは守りたいと、驚異的に射撃の技巧を上げ。

 あるものは死にたくないと、医学的には失血死しかねない負傷をしながらも戦い続け。

 あるものは帰りたいと、いつもの愚鈍さからは想像もつかない作戦を打ち立てて勝利に貢献し。

 死を前にした人間は勇ましく、逞しく、強かった。

 そして、彼女は最初の戦いで、一つの悟りを得る。


 即ち、『人には地獄が必要だ』と。


 『人の進化と繁栄には戦争が必要不可欠である』と。

 だから、彼女は戦乱を広げることにした。

世界中を混迷に叩き落とし、老若男女 分け隔てなく地獄へ引きずり込んだ。敵味方 平等に殺し続けた。

 知らん顔をしていた国は弱みを握って、目を開かせた。


 目を背けるな。よく見ろ。

 人の魂は腐りつつある。進む意思すら忘れ、ただ肥え太ることだけを望んですらいる。

 そんな怠惰を、決して許してはならないのだ。


 斯くして、世界は炎に包まれた。


 多くの人が死に、多くの命が踏み潰され、多くの嘆きが満ちて、多くの知識が生まれ、多くの技術が生まれ、多くの力が生まれた。


 そう、この災禍こそが我が祈り。

 この地獄こそが我が楽土。


 私が生きている限り、お前たちの魂を腐らせはしない。


□■□■□■□■□■□■□■□■


CoCの蹂躙に連れていった子です

プレイ前に書いた説明なのでネタバレとかは無いです。

おやぁ? どこかで見たことありますねぇ?

というか色々混じりすぎてませんかねぇ?

なんか大元より魔王っぽくなりました。頑張れご開祖。

なお、こんなナリして女です。もちろんのことセッション中は勘違いされてました。

うん……薔薇では無いんだ…………ごめんな…………

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