黴臭く、薄暗い古書店の奥。
そこに僕は棲息している。
髪を切ったのはもういつのことか。
一年前か、五年前か、――それとも、もっと前か。
着物から伸びる手足は恐ろしく白い。
それほどまでにもう、日の光には当たっていなかった。
僕はここで、稀に来る変わった客の相手をしながら過ごしている。
ここには誰もが〝本〟を売りに来る。 そう、曰くありげな本を――。
初の中編ホラー作品。
和ホラー、呪い系統になります!
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私を抱いたあとに平気な顔で花嫁との永遠の愛を誓う。私の好きな男はそういう男だ。