この世は地獄である。
そこには混沌と無秩序と不条理ばかりが軒を並べ、そこにポンっと放り込まされた我々には一銭の価値も心の準備も持たされてはいない。
我々はただ生まれ、捕食し、捕食され、運が良ければ年を取り、更に運が良ければ病に掛かり死ぬ。
なので本来、我々のような生命が生き残り生き延びるためには、これらを悲しんだり嘆いたりしてしまうような感情は、百害あって一利すらなかった。
が、しかし、それでも我々は意識を持ち、喜び、怒り、哀しみ、楽しむことを選んだ。
他を知り、愛し、愛されること、他の喪失に心を痛め、抉られること、を我々は選んだ。
――地獄であった。
なので我々は、“祈り”を覚えた。
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