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2023.07.31 11:25

イラストの制作料金の考え方について

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今回はイラストの制作料金について考えます。


趣味や単なるお小遣い稼ぎ程度に考えているにしても、それでも忙しい日々の中で長い時間をかけてイラストを描く以上、モチベーション維持のためにもそれに見合った報酬はいただきたいものですよね。

ですがイラストの価格というのは絵師の画力や人気、絵の内容などによって大きく変わります。

「イラスト業界に詳しくないので相場がわかりません」

と言う方がよくいらっしゃいますが、相場などというものは実際あってないようなものです。


ですのでこの記事ではこんな依頼は○○円で受けましょう、というような具体的な金額は記載出来ないのですが、

『こんな依頼の場合は価格を上げたほうが良い』

という例を挙げていきますので有償依頼を受ける方は参考になさってください。



1.キャラクターデザインからの制作


元々自分のキャラクターの三面図などを持っている方以外からの依頼は、まずキャラクターデザインをしてからそのキャラのイラストを描く、ということになりますね。

場合にもよりますが、複雑なコスチュームなどを指定されたり指示が細かい場合制作時間が大幅に増える可能性があります。


2.複雑なポーズ、デザイン


難しいポーズを指定されたり、キャラクターデザインが細かく作画に時間がかかる場合。

自分の実力とも相談することになりますが場合によってはこの点も考慮して料金を決めてください。


3.背景あり


一枚絵などで背景を描かないといけない場合はその作画コストも必ず計算に入れましょう。

基本的に絵を描かない人は背景はキャラのおまけのようなものであまり時間がかからない、という認識でいる場合が多いのですが、実際はキャラ部分より大変な場合がよくあります。

背景を描くとなるとキャラをしっかり背景に違和感なく立たせたり絵柄を統一させたりなど考えることが増えたりもします。

図形やパターンを組み合わせたシンプル背景か、自然物や建物を描く本格的な背景か、など内容をよく聞いて自分の実力で描くことが出来るか、描いた場合どれぐらい時間がかかるかしっかり考えてください。


4.小物あり


キャラに小物を持たせたり、背景に小物を置いたりする場合も当然その分制作時間は長くなります。

一番気をつけないといけないタイプの小物は、『ぬいぐるみ』など生物の形をしているものです。

ぬいぐるみを描いてください、と言われるとつい小物を描くと認識してしまいますが、よく考えてください。

これは実質『デフォルメキャライラスト』が追加されたのと同じようなものです。

キャラにぬいぐるみを持たせて欲しい、という依頼は意外と多いので気をつけていきましょう。


5.文字入れ


歌ってみた動画のタイトルロゴなど文字入れをしないといけない場合。

ロゴがフリー素材として公開されていたりすれば楽ですが、ない場合は自分で作らないといけなくなります。

ロゴ作りまでしないといけないのか、見積もりの際は必ず確認してください。


6.差分


表情差分などの差分を求められている場合。

差分程度ならすぐ描けるから、などと考えずにきちんと価格を上げましょう。


7.透過画像あり


キャラ単体透過画像なども提出する場合。

この場合トリミングなどによりキャラが切れないようにするため描画範囲が増えることが多く、背景もキャラの裏側まで描かなければなりません。

依頼者が別画像と組み合わせて二次利用をする予定だ、ということでもありますのでそのことも考慮してください。


8.クオリティ重視


クオリティ重視で、と依頼してくる人がいます。

もちろんお金をもらって制作する以上趣味絵などより時間をかけ丁寧に制作するものですが、このように言われてしまうとハードルは上がってしまいますよね。

○○円でしたらクオリティを追求出来ます、と自分が納得出来る料金を提示してください。


9.お急ぎ納品


お急ぎでの納品を指定されることはよくあります。

状況にもよりますが、先に依頼してくれた方よりも優先して制作しないといけない場合は例えるならラーメン屋の行列の一番前にいきなりその方を入れるようなものですよね。

お急ぎ指定の場合○○円かかりますがよろしいですか?としっかり伝えましょう。

ただ単にせっかちなだけで、実際はそれほど急ぎで制作する必要がなかったりもします。


10.商用利用あり


グッズ販売など、商用利用の予定がある場合。

商用利用料金についても決まった金額はありませんが制作料金の20〜50%程度を上乗せするのが一般的です。

商用利用を許可する場合でも、その用途はきっちりと報告してもらうようにしておくと安心出来ます。


11.実績非公開希望


この方からの依頼でこのイラストを描きました、という実績を公開出来ない場合。

実績公開は自身の宣伝をして次の依頼に繋げたり、イラストのサンプルとするために必要な、イラストレーターの大事な仕事です。

それにせっかく描いたイラストを依頼者一人にしか見せられないのは寂しいものですよね。

そもそも依頼絵であっても、著作権譲渡をしない限り著作権は制作者にあるため基本的に実績公開やサンプルとしての使用は制作者が自由におこなえます。

実績公開しないでとお願いされた場合はその権利を奪われてしまうわけですから、その権利分しっかりと料金を上乗せしましょう。


12.著作権譲渡


稀に著作権譲渡を求められる場合があります。

基本的にどんな条件でも著作権譲渡はすべきではないと思いますが、どうしてもという場合は著作権譲渡について制作者と依頼者の双方がきちんと理解した上で、自分が納得出来るような大幅な追加料金を設定してください。


13.リテイク


リテイクのタイミング、回数、料金、程度については事前に決めておきましょう。

あまりにも大幅な修正や複数回のリテイクがある場合追加料金を考えてください。

もちろんリテイクがないのがお互いに良いことなので、事前の丁寧なヒアリングやこまめな進捗報告を心がけましょう。