【初出:2019/5/15】
何も深く考えずに物語を綴っていたら思いの外、こんなものが出来ていました。最初は、普通の阿呆な推理ものを書いていただけのはずでしたが…何処で間違えたのか、こういう展開かよ!ってセルフ突っ込みしながら仕上げました。でも、まあこれはこれでありっちゃぁあり、ですよね?それでは、御興味が湧きましたらお目を通し楽しんで頂ければ幸いです♪
(あらすじ)
潰れかけで二人しか居ない、推理文芸研究部という部活に所属する出雲恭爾と喜瀬来海はいつもと変わらぬ日常を過ごしていた。そんな中、生徒会から今後、何も実績が無ければ廃部になる的な書面通告が来る。
「我が楽園に終止符という魔の手が迫ると言うのか!?」
そんな事を言い現実逃避紛いな言葉を発する恭爾に対して、来海は冷静で…部の存続をかけた妙案を思いつく。それは、自身が掛け持ちしていたもう一つの部活である映像活劇部の協力を得て推理文芸研究部と映像活劇部の共同映画を取ってしまうというものだった。
――そこで、来海は曷塗音乃という少女になりきり恭爾に依頼と称して映像活劇部の部室に招き入れる。しかし、そこで用意されていた偽の台本にあった事件が本当に起きてしまう。何でこんなことが…と思う来海に対して恭爾は冷静に事件を解決しようと動き出す。それを目の当たりにした来海は、いつも巫山戯てばかりの恭爾とは違う姿に興味を抱き…映像活劇部の部長の爽に撮影を続けることを打診。その中で、音乃という架空の少女の役に没頭するうちに次第に心が恋する乙女のように染まり始める。
「(恭爾先輩…まったく気づいてなかったなぁ…)」
恭爾は音乃が来海だと全く気づいてない。そして、いつの間にか…その興奮と少女の役柄に没頭して入り込みすぎた結果…来海はいつの間にか曷塗音乃という恭爾先輩に恋する少女になってしまっていた…ということに気づく。
「恭爾先輩…先輩の顔が頭から離れなくなっちゃったよぉ――」
来海が違うと意思を出そうにも、口から出てくる言葉や思考はもう完全に純粋なる少女の思考そのもので支配されて、どうしようもなく恭爾のことで頭がいっぱいになっていた。高鳴る鼓動、火照る顔が耳まで熱くなる気がして…今、正に純粋無垢な少年の心は…紅の恋する少女に染まろうとしていた――
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