コミカライズ作画担当のキャラクターデザイン範囲の話

一次創作でイラスト・漫画を描いている能勢ナツキです。

和風なものが好きなのでそればっかり描いております。

私は今年2月までコミカライズ連載をしていたのでそれ関連の話で、今回は『コミカライズ作画担当はどの範囲までキャラクターデザインをするのか』でも書いてみようと思います。

（”今回は”って書いたけど次回があるかは定かではないです💧）

前置きとして、これはあくまで私が担当したコミカライズの場合の話です。

私が担当した原作小説は

①webサイトで作品発表

↓

②原作小説書籍化

↓

③コミカライズ連載（←ここが私の担当）

という流れだったので

原作小説の書籍が発行されていて、その発行時にコミカライズ作画担当とは別のイラストレーターさんによって作られたキャラクターデザインが存在する場合

の話ですね。

クレジットに”キャラクター原案”が入っているタイプです。

最近は「②原作小説書籍化」無しですっ飛ばしてコミカライズするパターンも増えているみたいですし、その場合だと違ってくる＆原作書籍があっても細かいデザイン範囲は編集部による、というのも念頭の上お読みください〜。

また私の担当した作品の原作・コミカライズ共に目を通していただいてからの方が分かりやすいかも？と思うので読んでいただけると幸いです。

「攻略! 大ダンジョン時代俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」

・原作小説

web連載（小説家になろう）

書籍（全2巻、Amazon）

・コミカライズ

comicPASH!neo（公式連載サイト）

単行本（全3巻）

コミカライズ公式連載サイトの「comicPASH!neo」では、登録すれば毎日無料で読めるのでぜひご覧ください！

単行本は書き下ろしもあります！

単行本1巻の表紙です↑

描いたのが、もうだ〜〜〜〜〜いぶ前なのでもはや懐かしいというかなんというか…。

中身も含めて描き直したい衝動に駆られますね。

というわけで本題の「コミカライズ作画担当はどの範囲までキャラクターデザインするのか問題」について。

さすがにモブとかまで含めるわけにはいかないので

・名前（あるいは名前じゃないけど個人を指す呼び方）が出てくる

・複数コマ以上に渡って登場してセリフもある

あたりを基準に抜き出してみました。

主人公のクラスメイトなどの複数コマ出てくるしセリフもあるけどモブに近いかも…みたいなキャラクターは今回は除外しています。

ってことで以下ご覧ください。

↓↓↓

※各項目登場順で記載

A.原作小説書籍にキャラクターデザインがありほぼそのままで描いたキャラクター

山形公平（主人公）

御堂香苗（メインヒロイン）

佐山梨沙

・公平（主人公）：探査服・学校制服

・御堂：基本のジャケット服

・佐山：学校制服

のデザインがそれぞれありました。

漫画でもほぼそのままで描いています。

B.原作小説書籍にキャラクターデザインはあるが変更を加えたキャラクター

山形優子

逢坂美晴

望月侑

端末

マリアベール・フランソワ

アイ

変更を加えた理由は色々なんですが、大まかには

・原作小説書籍の表紙＆挿絵に全身が出ていなかったり描かれていても判別しづらい

・Aのキャラクターとの差別化

・シチュエーションの都合

あたりが理由です。

C.私がデザインしたキャラクター（原作小説書籍にキャラクターデザインが無い）

山形母

山形父

広瀬本部長

関口久志

新川晋太郎

烏丸良子

松田

リーベ

鈴山

中島

高木

原作小説書籍には一切デザインが描かれていないキャラクター達です。

最初に書いた「クラスメイトなどで複数コマ出てくるしセリフもあるけどモブに近いかも」まで含めるともうちょっと増えます（が、今回は割愛）。

ちなみに関口くんに関しては以前友人に話したら「あんなに登場するのに原作にキャラデザ無かったの！？」と驚かれたのが印象的でした。

言われてみれば彼は結構登場しましたね……。

D.漫画ならではの必要なデザイン

これも私（コミカライズ作画担当）がデザインした部分になるんですが、小説の挿絵にはあまり出てこない（出てくる場合もある）けど漫画で描くには必要なデザインというのが存在するんですよ……。

それは何かって言いますと

各シチュエーションに合わせたキャラクターの私服

です。

実際描いてた具体例を挙げると

・寝間着

・部屋着や普段着

・オシャレ着

（※それぞれそのシーンに出てくるキャラの人数分必要）

あたりでした。

A・Bのように原作デザインがあるキャラクターでも、デザインされているのは「学校制服や探査服などの一番よく登場する服装のみ」がほとんどです。

あるいは挿絵で必要なシーンの服装とか。

でも漫画だと、学校行ったりダンジョン行ったり家でゴロゴロしたり友達と遊んだり…………とキャラクター達はいろんな場所でいろんな行動するわけですよ。

全てのシチュエーションを学校制服（あるいは探査服）着た切り雀にするわけにはいかない

……ってなわけですね笑

なので公平（主人公）・関口くん・佐山さんあたりの三人は割と色んな服着せてました。

（他のキャラも学生組はちょこちょこ着替えてました、大人組は大抵スーツなので固定）

でもメインヒロインの御堂さんは着た切り雀でしたね……一度も着替えさせなかった。

途中で着替えさせた方がいいのでは？？と思ったりしましたが、着替えさせる理由のつくタイミングが見当たらなかったので結局ずっとそのままになってしまいました。

ちょっと残念…。

でもその代わり電子書籍の特典では作中絶対出ないような服装をカラーで描いたりしたので、ジャケット姿以外の御堂さんが見たい方は電子書籍単行本買ってくださいね♡（宣伝）→全3巻

こう考えると服装着た切り雀で許されるファンタジーは便利な面もあるなと思います笑

でも流行りの悪役令嬢系だと異世界であってもドレスをめちゃめちゃ着替えますよね……あれは現代服以上に大変だ……コミカライズ作画担当者さんはよくやるなぁ……と感心します本当に。

関口くんの私服↑

彼の服を考えるの結構楽しかったです。

公平（主人公）普段着↑

登場回数が多かったので

・外出着は無難な白シャツ（たまに一部模様が入っている）と黒ズボン

・部屋着は無地or一部模様のTシャツとジャージ

をメインでローテーションしてました。

ローテーションにしていたのは「数話前に出てきた服をまた着ている＝洗って着回している」という生活感のある人間ぽさが出るかな〜と思ってそうしていました。

決してデザイン考えるのが面倒だったからとかではないです笑

単行本お持ちの方は何話と何話の普段着が被っているのか探してもらえると面白いかもしれません。

ついでに。

着た切り雀が許されるファンタジー世界の住人↓

「絲遣い（いとつかい）」（同人誌、BOOTH通販中）主人公の白露。

ファンタジーなので問答無用で着た切り雀。

定期的に上着は脱ぐ。（それは着替えに入るのか…）

でもそういえば寝間着は一度着せてましたね、たしか。

同じく「絲遣い（いとつかい）」から銀次。

やはり着た切り雀。

頑なに着替えない笑

同じく「絲遣い（いとつかい）」から吉川椿。

ストーリーの都合で唯一2話目で着替えました。

でも2話目以降ほとんど着た切り雀なのであまり変わらない。

まあでもこの「絲遣い（いとつかい）」って時代設定的に昔の日本なので、ファンタジーじゃなくても着た切り雀が許されるんですよね。

昔の庶民はそんなに大した枚数の服持ってなかったので。

今みたいに庶民が毎日服装変えるのは近代の話だな〜と思います。

●まとめ

以上が『コミカライズ作画担当は一体どの範囲までキャラクターデザインをするのか』という話でした！

いかがだったでしょうか？

友人にこの話をすると、大抵「原作にデザイン無いキャラってそんなに多いの！？」と驚かれる場合が多いので、コミカライズ経験者以外は驚いた方が多かったんじゃないかなと思います。

私も友人に話したことで驚かれたことに驚いたということもあり、今回記事に書いてみました。

この記事を読んでくださった方は、今後キャラクター原案付きのコミカライズ作品を読む際には「どの範囲までが作画担当者のデザインなのだろう？」を想像しながら読んでみてください笑

●余談最近のコミカライズに関して

ところで最近の漫画業界は「漫画家不足」らしいです。

でもこれ厳密に言うとオリジナル作品を含めた全ての漫画家ではなく、「コミカライズの作画担当をしてくれる漫画家不足」だそうで。

（※一応他にコミカライズ以外だと分業制のWEBTOONの募集も多いですが）

web小説の人気作をコミカライズする流れが流行り、そのおかげ（？）でコミカライズ作画担当であれば漫画の仕事が以前に比べて容易にもらえる流れになっています。

……が、その反面コミカライズ作品のトラブルによる連載中止案件もよく目にするようになったなぁ、というのもすごく思いますね…。

トラブル内容については私は経験したわけでもないので詳細は分かりません。

けど今まで発表された編集部の連載中止に関するお知らせの数々を読んできた限りでは、作品に対して何らかで作画担当・編集部・原作者のいずれかが揉めて連載終了に至る、というのが多い模様です。

色々、どうなんでだろうね……揉めて連載中止がそんなに頻発するのって。

ちなみに私は、コミカライズ連載の話をいただいた時に「（コミカライズ作画の）漫画家不足って本当なんだなぁ」というのを実感しましたね…💧

いやもうだって、web上のあらゆる場所でも即売会上でも何もどこにも目立ちもしない上に商業漫画の実績すらない奴に「連載しませんか？」って来たんですよ。

もう「人が足りてない感」がすごかった。

私がお話いただいたのは2022年のことでしたが、三年経った今現在も（コミカライズ作画の）漫画家不足はあまり変わっていないような気がします。

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