特装版『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』
NHKダークサイドミステリー「その英雄、凶暴につき 天使か悪魔か ビリー・ザ・キッド伝説」で紹介されたウォルター・ノーブル・バーンズ著『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』の初邦訳です。
※特装版は300部限定(重版する可能性もありますが、現時点でその予定はありません)
※本書に含まれる訳文は営利・非営利を問わずご自由にご使用ください。海賊版の製作・販売のみ禁止します。
【概要】「訳者による解説」より抜粋
『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』は現在のビリー・ザ・キッド像を定着させるのに最も貢献した記念碑的作品である。ビリー・ザ・キッド関連書籍の中でパット・ギャレット著『ビリー・ザ・キッド、真実の生涯』と並ぶ重要書籍の一つだが、残念なことに未邦訳であった。したがって、本書が初邦訳となる。
作者のウォルター・ノーブル・バーンズはケンタッキー州生まれのジャーナリストである。長年にわたってシカゴで犯罪に関する記事を書いていた。かねてより西部を舞台にした作品を書きたいと思っていたバーンズは 1923年に3ヶ月にわたってニュー・メキシコ各地を訪れ、ビリー・ザ・キッドに関する証言を集めた。そうした証言をもとにバーンズは1926年に『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』を上梓した。『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』は大ヒットを記録し、バーンズは世界的な名声を得た。1930年には『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』をもとにした映画も封切られた。一時期、忘れ去られた存在になっていたビリー・ザ・キッドが再び脚光を浴びるようになったのはバーンズの功績である。
バーンズはアメリカ独自の文芸作品を生み出すことを志していた。そして、イギリスのロビン・フッドと肩を並べるようなアメリカ人のための英雄を創造することがバーンズの目的であった。『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』は現代に至るビリー・ザ・キッド像を確立した叙事詩にして歴史小説である。ビリー・ザ・キッドは何ものも恐れることなく自分の信念を貫き自由に行動するというフロンティア・スピリットを体現する存在になった。そうした精神は高度に発達した社会の中で個人の無力さを感じていた多くの人びとに受け入れられた。『ザ・サガ・オブ・ビリー・ザ・キッド』は西部を舞台とした代表的な文芸作品であることに加えて、ビリー・ザ・キッドの受容史をたどるうえで絶対に外せない書籍である。
A5版292頁・関連地図1枚
【クレジット】
訳者:西川秀和
製作協力(表紙装幀・レイアウト・印刷発注etc.):大村はるき(@ohmurasaki)
校正協力:三夜(@sigumiya5)、彼方(@likegungirl75)、しらす(@sssssirasu)