館の調査② 揺籃の館について
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揺籃の館には、書物庫がある。
館や儀式について書かれた本がないか探しに来たサイカたちだったが
見つけたのは『どんな淑女でも簡単にできる!服の作り方』『栄養のある食事が子供に与える影響と解説』『心理学入門解説』etc.
…あとは大衆小説と童話絵本だけだった。どうしてこんな本が?
不貞腐れながら書物庫にあった本たちを眺めていると、レディ・プリュームに声をかけられた。
「あら お目当ての本は見つからなかったの?」
レディ・プリュームとクレイドル:アレキサンドライトはサイカに館のことを教えてくれるという
「同盟相手ですもの これくらいは当然よ」
静かな書物庫に、歌うような声が響く。
揺籃の館、そう呼ばれるようになったのは2代目人形師の時代だった。
元々は死霊魔術を生業とする一族であったが、初代人形師はその延長線でクレイドルドールを生み出したそうだ。
しかし、今の人形師も言っていた「初代人形師の失踪」によって人形の完璧な製法は失われてしまった。
2代目以降の人形師は初代の製法を再現すべく心血を注いだが、今に至るまでその製法は解明されていない。
「私たちは実験台 勝ち抜けば何でも願いを叶えてくれるなんて 甘い嘘に決まっているわ」
「あなた達には期待しているのよ この館の 何もかもを 暴いてほしいの」