Carnival rhythm~カーニヴァル・リズム~
海は広い広い水槽
ーーこれは、食人の記録である。
少女は願った。食べられるのは嫌だと。
少年は願った。もう食べるのは嫌だと。
人は人で生きている。人が食料を作るから食事ができ、人が衣服を作るから寒さ暑さに耐えられ、人が家を建てるから雨風が凌げて、人が娯楽を提供するから人が心を豊かにでき、人が犠牲になるから人が生きられる。
そんなごく当たり前を、当たり前だと流した世界は、どこにあるだろうか。
誰だって魚のあの人を求めてる。
誰だって魚のあの人にはなり得た。
けど、我々は魚のあの人を見送ってしまった。使い潰してしまった。
それでも、魚のあの人は優しいから、みんなを許して父の元へ向かった。
だから魚のあの人はもう現れない。
魚のあの人になり得る子供たちはたくさんいた。
けどそれを大人が食べてしまうから、食べられた子供たちは魚のあの人にはなれず、同じように子供たちを食べる。
誰だっけか。狭い水槽を海と呼んだのは。
誰だっけか。海を狭い水槽にしたのは。
この世界はみんな、魚食動物《カニバリスト》だ。
少女は願った。食べられるのは嫌だと。
少年は願った。もう食べるのは嫌だと。
人は人で生きている。人が食料を作るから食事ができ、人が衣服を作るから寒さ暑さに耐えられ、人が家を建てるから雨風が凌げて、人が娯楽を提供するから人が心を豊かにでき、人が犠牲になるから人が生きられる。
そんなごく当たり前を、当たり前だと流した世界は、どこにあるだろうか。
誰だって魚のあの人を求めてる。
誰だって魚のあの人にはなり得た。
けど、我々は魚のあの人を見送ってしまった。使い潰してしまった。
それでも、魚のあの人は優しいから、みんなを許して父の元へ向かった。
だから魚のあの人はもう現れない。
魚のあの人になり得る子供たちはたくさんいた。
けどそれを大人が食べてしまうから、食べられた子供たちは魚のあの人にはなれず、同じように子供たちを食べる。
誰だっけか。狭い水槽を海と呼んだのは。
誰だっけか。海を狭い水槽にしたのは。
この世界はみんな、魚食動物《カニバリスト》だ。