公開投稿
2025.10.19 23:40
【300字SS】必然で唐突な運命
X(旧Twitter)の「毎月300字小説企画」さんの企画で書きました。
お題は「3」です。
エブリスタにアップした、『重なり合うブルー・アワー』 のヒロイン視点・モノローグ的な感じです。
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また、この喫茶店に来てしまった。
鞄に入れっぱなしだったレシートを広げてみたら二枚あったから、もう三回目。
あの人と昔通った喫茶店と同じ名前というだけでふらりと扉をくぐって、雰囲気はもちろん違うのに、気づいたら思い出の紅茶一杯でだいぶ長居してしまっていた。
びっくりするくらい、居心地がよかった。ほんの少しだけ、軽くなれた。
二回目も同じ、そして今も。……気のせいじゃない。
注文を取りに来るマスターの声も、まるで寄り添ってくれているみたいに心地いい。
——私、きっとまたここに来るわ。
紅茶一杯で長居するなんて迷惑かもしれないけれど……このタイミングで出会えたのは、運命としか思えないから。