公開投稿

2024.02.01 21:40

『見上げるときはいつだって』

散文です。


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 見上げると、重い灰色ばかりが視界を埋める。胸元のあたりがさらに苦しくなる。


 ――ああ、なんて澄んだ空色でしょう。どこまでも開放的で、いつ見ても気持ちいい。心が洗われるみたい!


 そんな時、今の一度だってなかった。

 いつでも、今みたいに心を覆いに来る。わずかな光も塗りつぶす。


 ……そうか。


 こうして頭上を仰ぐのは、どうしようもないときばかりだった。