公開投稿

2024.02.08 20:25

『ない交ぜ状態』

ほんのりBL要素入りです。


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 膝を抱えていると、頭をちょっと乱暴に撫でられた。

「……慰めてくれてる?」

「相変わらずで呆れてるけどな」

「どうせおれは惚れっぽいよ」

 どうしてうまくいかないんだろう。おれなりに頑張ってる……つもりだからいけないのか。情けなくも涙が出そうになる。

 撫でる手つきから荒々しさが消えた。少しくすぐったい。

「なあ、いい加減もう諦めろよ」

「なんだよいきなり」

「大人しく俺を選んどけばこうやって傷つかないですむぞ」

 世間話の延長みたいなノリで告白されたあの日を思い出す。傷を最小限にしたかったからかもしれないし、おれが無駄に気にしないよう気遣ってくれたのかもしれない。

 ただわかっていたのは、変に緊張していたということ。

 思わず喉が鳴る。

「メリット、それだけじゃん」

 短いため息が聞こえた。

「頑固だね。お互い」

 向かい合わせじゃなくてよかった。

 自分が今どんな顔をしているのか、わからない。