公開投稿
2024.02.12 15:25
『予想外』
散文です。男女ものです。
--------------
「あんたって、そんなに眩しかったっけ」
幼なじみは無駄に瞬きを繰り返して、首を軽く傾げた。
「おれ、発光する体質じゃないけど」
いつもの不思議発言も、どこか可愛く見える。
いつからこうだった? 本当に最近なことだけははっきりしている。
「どうかした?」
うつかり観察モードに入っていたようで、少し距離を詰められ、まっすぐ見下ろしてきた。嗅ぎ慣れた香りが鼻腔をくすぐる。
急に息がしにくくなった。あからさまな態度で顔を背けると、戸惑いの声が聞こえた。
「ごめん、おれ、また何かやっちゃったんだね。ほんと鈍いよね」
違う。違うんだけど、今は、少なくとも今はそのままでいい。
だって、私だって思い当たる答えが浮かんで、混乱して、うまい言い訳が思いつかないの。