もしも、わざわいなんてものが本当に存在するとしても、こうして走ってしまえばいいのだ。
無知で、愚かなおれでも、走ることは出来るのだから。
わざわいなんて置いてけぼりにしてやるさ。
深山の奥にひっそりと存在する獣の国。
彼らは肉食草食の隔てなく、美しく偉大な樹に寄り添い、平穏に暮らしていた――――一匹の獣が現れるまでは。
近衛兵団のみみずくと、彼に拾われたおおかみの子どもの、優しく切ない物語。
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