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2024.10.24 14:11

グラディエーター作品分析/MBTI

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 考え事しながら映画観るのはいい時間つぶしになる。洋画、とくにアメリカの映画は起承承承承転結で物語のはじめ(起)のあと延々と運命と格闘するような展開のシナリオが多いって(呪術廻戦で乙骨くんとかのキャラデザと演出とメインの作画やってた)平松禎史さんが他のアニメ関係の人の発言を引用してたけど、そういやグラディエーターもそうだなあって思うなど。


 タイプ相性の研究、典型的な場面の研究、文化圏によって作品中どのタイプが優遇されたりどのタイプの組み合わせが多いのか……Sくんが二年前のおれの誕生日プレゼントに紹介してくれたMBTIは良い思考の枠組みだ。



 グラディエーターの老皇帝マルクス・アウレリアスとハリポタのアルバス・ダンブルドア校長ってなんか似てるよな。カール・グスタフ・ユング(INFJと分類されている)がモデルなのかな?って気がするけど、ということはTiを鍛えてINTPに転化したINFJか。あとグラディエーターのヒロインのルッシラと風の谷のナウシカのクシャナ殿下は似てる、ということはENTJか?


 最初おれはルッシラをINTJだと判断していたが、それはそう仮定するとMBTIのタイプ相性診断として関係性がすっきりするためだ。劇中、敵役の帝位継承権者コモドゥスは父親とI-E/内向-外向反転タイプだが未熟なENFJで帝位継承の条件を満たさず、ISTPの将軍:戦争の英雄のマキシマスに帝位を譲ろうとしていた父王を殺した(これが物語の起)。

  ISTP+INTP系INFJにINTJ+ENFJが相対してバランスを保っていた構造が、ENFJがINTP系INFJを殺してISTPが孤立し、最終的に三人の内向型に一人の外向型が敵対するのはリドリー・スコット監督の心的性質による布置なのだろうか。


 ちなみにINTJのルッシラはISTPの将軍マキシマスとかつて恋仲で、別れたあともずっとマキシマスを想って毎日無事であるよう祈りを捧げていた。このことが、父王に認められようともがきつづけ姉のルッシラを愛していたENFJのコモドゥスの強い嫉妬心を誘発し、激情から父王殺害とマキシマスの処刑に駆り立てる動機となる。

 INTJルッシラとISTPマキシマスは物語の後半で仲が再燃するが、これをベルセルクの人間関係と比較して、INTJグリフィスがルッシラでISTPガッツがマキシマスと置き換えて考えるとなかなか面白いかもしれん。お気に入り映画に出てくるタイプの絡み合いを研究して(主要登場人物の各タイプ同定→各人物の役割をタイプの絡み合いの筋にして物語の構造を書き出す→似た構造の映画があったらそれ同士で比較)、惹かれるタイプ構成だけ流用して、全く新作に見える物語を作れそうだな。少なくともプロットはすごく書きやすくなりそう。



 今日は作品分析しかしていない。


 売れ筋分析の以前に、もっと基本的な分析ね。まず自分がどういう要素に惹かれるかノートに書き出してチェック。物語系は大枠をとってプロット化して、MBTIでキャラクターを類型化してフォルダ分けすると、他作品との比較や増幅法を使った推移パターンとかシナリオ進行の分析の効率がいいかもしれんと思った。


 今の気分的には復讐劇とか反逆劇とか救出劇とかじゃなくて、なんとなく日常ほのぼの系を書きたいなあって思うんだけど、逆にそういうのって細かい具体性を持ったネタがないと難しいよね……。

 MBTIでフォルダ分けして立ち回りパターンとか、他タイプとの絡み合いパターンとか、群像劇だとどういう交錯をするかとか、そういうのやっとくと頭の中で複数の人物に整合性をもたせて動かしやすい気がするんだよね。

 現実感のあるシナリオ構成には心理の推移を設計しておくことが不可欠だし、おれはわりと同時に複数人を動かす群像劇系が不得意だから、もうちょっと作品分析とMBTIタイプ別分析したらいいのかなって思った。



 たとえば、おれはグラディエーターの主要人物のタイプ分けはこうアタリをつけてる。


マキシマス:ISTP

コモドゥス:ENFJ

ルッシラ:INTJ

マルクス・アウレリアス:INTP

 ちなみにベルセルクだとこうだと感じてる。

ガッツ:ISTP

パック:ENTP

キャスカ:ISFJ

グリフィス:INTJ

シールケ:INTP

ファルネーゼ:INFJ


 韓国はMBTIが企業の面接とかでも使われてるって聞くし、MBTI全盛っぽいから、やっぱ韓ドラのシナリオ設計もMBTIが使われてシステム化されてるんかなあ。

 ちなみに多分FF7だとこうな気がする。


クラウド:INFJ

ティファ:INFP

バレット:ESFP

エアリス:ENFP

ザックス:ISTP

セフィロス:INTJ

宝条:INTP


 あと、元型論とかタイプ論翻訳した林道義先生は本人が自分は細部を捨象する直観寄りの内向的思考型だって書いてたしエピソードとか見ててもINTPな気がするけど(羊たちの沈黙のレクター博士もINTPだと思う)、たぶんユング自身はINFJだと思うよ。

 ちなみに林先生は上野千鶴子さんとかのラディカル・フェミニストとものすごく相性が悪かった。でもタイプの相性とか考えて研究していくと、誰を誰のメンターに付けたらいいかとか、議論の仕方とか事業目的に沿った部署での組み合わせ方とかもある程度システマティックに考えられるよね。


 日本人にはINFJが世界統計との比較で多めらしいけど、アドルフ・ヒトラーもINFJって言われてるよね。

 補助機能としてFe/外向的感情を発達させるかTi/内向的思考を発達させるかでもだいぶ性質変わるし、環境によって振り幅が大きいのがINFJなのかもしれん。


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2011年に書いた論文「ツァラトゥストラ」の解題:


 人間は、認識できるイメージの空隙(文章の行間)を半ば自動的な空想(ファンタジー)で埋めるようにして生きている。故にこそ、物語の主人公がその対象の細部に働きかけたときにきちんとした反応が来るかどうかで読み手の官能的刺激(リアリティ)も定まるのである。


 そのように生きた虚構による小説をつくるために最初のプロット立てで行う必要があるのは、各シーン毎のイメージの流れ・配置を概観しておくことである。

 つまり、任意で状況を設定した上に、直観的なひらめきや、視・聴・触・嗅・味覚イメージを連想させる指示文(2~3種の複数の感覚器官で刺激を再現できるように選んだ指示語を並べて組み合わせたもの)を現実を再現する時間軸に沿って構成する(1話で桜の言う位相と変位の話)。

 のちに、そうしてできた背景世界に対してキャラクターがどういう反応(感想・分析・感情)を持つかを適切なタイミングで割り込ませる(3話で桜の言う、主人公によって世界の捉え方が異なり、さらに読み手によって主人公の体験する世界への反応が異なるという話)。


 ここで主人公の捉える世界に説得力を持たせるためには、自分の中で再現しやすい人格かある程度タイプの偏っている人格を用いるのが好ましい。何故なら、世界を認識し適応するために頼る基本的な優先機能と、逆に使われていない(あるいは欠落している)機能を設定し、自由に動かせるようになるまで彼の生きてきた軌跡を確率統計論によって運動方程式を求めて設定してやらなければ、一貫性を持たせながら成長させることができないからである(3話で桜の言っていた運命の確率分布の話、4話でPの言っていたアイデンティティの話)。

 つまり、この場合、無限集合の集まりに対する選択公理を導ける糸は当人が認識できる人格だけだからである。


参考資料――

「タイプ論(第一、十、十一章)」C.Gユング著、林道義訳、みすず書房

「連想実験」同上



補遺:


 ここで試みられているのは、上記の理論と、一対一の関係性のシンボルを用いることによって心の更新を司る機能を活性化させることである。すなわち『死』を意味する対象への没入と、『再生』を意味する人格の境界線の引き直し。

 物語中ではおよそ人間がもちうる属性を二人の少女に正対称となるように振り分けているから――思考・感情・感覚・直観といった――機能と同一化して社会に適応または埋もれてタイプへと偏った人間なら、玲菜と桜のどちらかに感情移入して物語を追体験していくことになるだろうし、同一化したり隣に寄り添ったりしていくうちに残る一方の人格が読み手のアニマ(内面世界との関係機能)を呼び覚ますはずである。それによって、あまりに一面的になって硬直・停滞していた生にエネルギーが流れ込んでくるように構成されている。


 神坂玲菜/ENFPが<感情、直観、文系、温かい生活、周囲の皆を優先する、物事の中枢に位置する人々、信じる心、太陽、調子がいい時怠ける心、ノブレス・オブリージュ、…>、中野桜/ISTPが<思考、感覚、理系、孤立、自己中心的、破滅的な傾向を持つ人々、空虚、月、諦めない心、武士道、…>などといった属性を振り分けられており、このうち強く共鳴する性質がどれかひとつでもあれば、交互に切り替わる人格世界で自分が相手の立場になり、相手が自分の立場になるのを体験しながら自分の辿るべき道筋に沿って徐々に人格が更新されていくのを理解するはずである。



参考資料――

「元型論(特に二、三、四、九章)」C.Gユング著、林道義訳、みすず書房

「心理療法論」同上

――以下は高度であるからさらに研究したい人向け――

「ヨブへの答え」同上

「転移の心理学」同上

「個性化とマンダラ」同上


 ※桜がISTP、玲菜がENFPだが、獣と鳥のアーティはENFJ、トーナはESTJ、リアンはINTJの配置になっている。