公開投稿

2025.07.30 18:30

【感想】球詠第108球

煩悩の数、第108球です。

野球の硬球の縫い目は108あるらしいですね。

お互いの煩悩を相手に投げ渡すスポーツ、それが野球…


今話は、4回裏5-3でリードしている姫宮の攻撃、1アウト走者なしで2番呂花さんから。

綺麗なセンター返しで光先輩からヒットを放つ呂花さん。充分強打者ですなあ。

しかしまた走者が…となりかねなかったところ、もう雰囲気が変わって芳乃たちは呑まれることなく堂々としています。


ここで怜が改めて自身の覚悟について考えていますが、この場面ではこれまでのいくつかのエピソードが思い返されます。

まず怜が言う「声をかけなかった」場面は、昨夏柳大戦の希の打席のことですね。

当時の試合後に柳大の大野さんのキャプテンシーと対比してそのことをとても気にしていました。

そして熊実と練習試合をした後、飛び入り参加してきた久保田さんの大きな声に顔を赤らめていた怜。

その久保田さんのような主将になりたいと顔に描いてある、と怜に言っていたのは理沙でした。 

昨夏の梁幽館戦、最後にヨミがみんなの声を聴く場面では、センターにいる怜の声は遠くて「聞こえない」とされていましたけど、

そうしたさまざまな時間と経験を経て、いま怜主将の声は憧れの(?)久保田さんの大きな声のように、遠くにいる光の耳にはっきりと届くまでになりました。


そして打席に立っている小陽にもその気持ちの強さは圧となって届き、

光+怜に気圧され打ち損じた小陽の打球は3-3-6のダブルプレーに。

この併殺は比較的稀なケースで守る側には難しいプレイでしたが、これをきっちり処理した希と稜の安定した守備力にも注目しておきたいところです。


グラ整に伴う小休止のなかでメンバーを集める怜。

104球で「まだ主将らしいことをみんなに言えてない」と思い悩んでいたのを、理沙に「何を言っても大丈夫」と背中を押されてましたね。

ついに怜は溜まっていた思いをみんなに伝えます。


まあ確かにそのいきさつを知らない後輩達は「突然何を言い出すのか」と驚くのも無理はないですw

怜ももっと堂々と胸張って言えばいいものをこんなモジモジかわいい…じゃなかった弱気な感じで話し始めたらみんなギョッとしますわね。

でもですね、「は?」とか返しちゃう菫だって、入部したての頃は「無理ね全国は」なんてことを言って希に怒られてたわけなんですよ。

それが今やこんな顔して必死になっちゃうなんて、まったく、ずいぶん変わったものですよ🤭ウフフ


夏の大会という「本番」を迎えて、しかし、いつも通りに集まってきた部員たち。

ヨミは普段と同じくワクワクして来てそうですし、

タマちゃんはヨミのことしか考えてなさそうです(偏見)。

稜ちゃんにいたっては昼下がりのコーヒーブレイクと何ら変わらない平穏なものの模様😏。頼もしい限り。


個人的には怜の締めの言葉が「いつも通り練習しよう」なのがいいなと思いました。

試合も大事ですが普段みんなと長く一緒にいるのは練習時間なわけです。

みんなと楽しく野球できる練習時間が怜にとっての「日常」であり、理沙とふたりだけで部を繋いでまで残したかった「幸せな時間」なのです。

もし今日敗れてしまえば三年生は即引退なので、二度とみんなと練習することはできません。

そんな「みんなとの幸せな日常」をまだ続けたい、という思いが込められていて、読んでて私は思わず切なくなりました。


と、ここで怜が主将として個人としてちょっと重めの話をして戸惑わせてしまったので、

理沙が後輩たちは好きに野球しなさいとすかさずフォロー。

これはよく出来た嫁


ところで…詩織が「頭空っぽのほうがいい人も…」と呟くその同じコマに、あえて白稜コンビが一緒に描かれているのは一体なぜなんですかねえ…🙄


さて試合は5回表、新越谷の攻撃は二番打者希から。

にわかの観客には姫宮バッテリーが勝負を避けたように見えたようですが、実際には美月は勝負しにいって希の選球眼がそれを上回っただけ。野次馬は帰れ帰れ


昨夏梁幽館戦ではヤジにブチ切れて「東区やし…」と涙を流していた希も、いまや冷静にヤジを受け流すようになりました。

まああの時は芳乃を批判されたからキレたというところではありましたが…

この試合、希は3打席3出塁。芳乃の期待通りの活躍をみせています。

野球はチームスポーツでもありますから、本塁打が打てなくとも、四死球や敬遠で出た走者を後続の味方打者が生かせば良いだけの話です。


希に続く打者は三番怜。

プクイチ先生渾身の、4段ぶち抜き・地面からの超アオリ構図で、打席に向かう怜の晴れ舞台を表現。

このコマもぜひ大きな媒体でどーんと見ていただきたいところ。


そんな怜にベンチから熱い声援。声援か?

稜ちゃんまではまだ普通の声援なのに、白菊からだんだんハあがっていくきっつい流れ。やめたげて😂

しんこしのバトルスタディーズこと菫の口癖「素でエグい」もいただきました。


引っ張りが「統計的にはコスパがいい」というのは、単純に引っ張った打球のほうが打球速度が速くなるからという話のことかなと思われます。

打球速度があがればそれだけ相手の野手の間を抜きやすくなり、ヒット、さらには長打となる確率もあがります。

球詠でもよく使われるOPSという打撃指標は出塁率とあわせて長打率が重要になり、必然打球がよく飛ぶ打者のほうがOPSの値が上がりやすくなります。

そして、「OPSの値が高い打者はチームの得点に貢献しやすい」という相関関係があることはすでに広く認識されています。

そうした「皆が強い打球を打つ→勝利に近づく」という単純明快な図式を、あれこれ手数をかける戦術などと比較してコスパが高いと表現しているのだと思います。


しかし、中にはスプレーヒッターという特性の打者もおりまして、

いわゆる「広角打法」というものですが、ぶんぶん振り回したり力で弾き返すよりも、

ボールに逆らわずに流し打ったり、バットにボールを載せるように打ったりするほうが力を伝えやすいタイプがそれなりにいるのです。


怜は前者に取り組んで結果も出してきていたけれど、元来後者の特性がある打者。

どっちでもいいと言うならば、すっきり打てるほうが後悔しなくていいんじゃない?というのが、前話、究極模倣で「息吹が伝えたメッセージ」でした。


特に走者が1塁にいる場合、レフト方向へ打つよりライト方向へ打つほうが走者が走りやすくなり、

レフトよりライトのほうが3塁との距離が遠いため場合によっては走者が3塁まで行ける可能性があります。

なので常にチームのことを優先して考える怜には右打ちが自然の流れなのでしょう。


「大丈夫!」という声が聞こえてきそうなその息吹が見守る打球は見事右方向、ライト前へ抜けるクリーンヒット。

息吹に「やったね」と抱き着いて喜ぶ芳乃とヨミ。

沸くしんこしベンチ。流し打ちマニア!

また怜に新しいあだ名がついてしまった模様。いったいいくつマニアの称号を得るのか。


続くは四番、主砲理沙。

怜の特性は他者のために行動する献身性。

いっぽう理沙の根源にあるのは怜の役に立ちたいという強い気持ち。

さすがに怜を追いかけて新越谷に入学しただけあってブレません。はよ告白しろ

出塁した怜をなんとしても本塁に返したい。

改めて原点に立ち返った強振で、気持ちのこもった打球はフェンスまで飛ぶ大飛球。

これこそ理沙、ひさしぶりのフライボールです。


三塁コーチャーの美咲は打球の上がり方をみて走者にタッチアップを指示。

この好判断で理沙の打撃結果は凡退から犠牲フライに格上げ。ありがとう美咲…私にもハグさせてください。

ちなみにここ、帰塁してからよーいドンで走り出した希と怜が、それぞれ足の速さ通り怜・希の順で次塁に到達するのが細かくていいですねえ。


手応えを感じる理沙。

しかしですね、今の時点で新越谷の中で出塁できてないのは理沙だけなんです。

今のところ結果だけみるとよくないんですよね…四番だけになおさらね…

まだ理沙は何かが吹っ切れてないのかな?やはり怜とのイチャイチャが足りてないのでは

このまま最後までノー出塁だと、仮に勝てたとしても次は打順を下げられる可能性も…

この、笑顔の芳乃の「次も期待します!」はなんか逆に怖いんですよね…😨

マジでがんばって…🙃


しんこしが1アウト走者2,3塁としたところで、姫宮は満を持してエースをマウンドに送ります。

ライトに入っていた岸田さんに変わってピッチャー菊地原さん。

ピッチャー美月が元のセンターへ、センターの後藤さんが元のライトへ、それぞれ戻って下記のようにポジションが変わりました。



これが姫宮のベストメンバーということになるでしょうか。


センターへ向かう美月に声をかける怜。

怜は姫宮初登場の頃からここまで美月と会話している描写がありません。

もともと小陽と美月が新越谷にいたとき、小陽と怜は苗字があいうえお順で近いこともあって一緒にいることがありましたが(第54球)、

美月とは守備位置が同じという以外ほとんど接点がないはずです。(おそらく理沙と小陽・美月の間も同じ)

不祥事が起きた時点では新越谷は強豪の一角で、部員数も相当いたはずですから、数か月で部が停止していたならば当時の一年生たちは同期のことを詳しく知らないまま解散してることになりますね。

そんな「知らないわけじゃないけど会話したことはない」という微妙な間柄で、しかしあえて怜から美月に自分から声をかけたということは、

この姫宮との試合でまた過去のくびきを外し、身を軽くすることができた、余裕が生まれた、ということなのでしょう。

怜はようやくここにきて本格始動ですね。ここからの巻き返しに期待大です。


ところで小陽は前の秋大での対戦のときは怜のことを岡田と呼んでましたが

今回の対戦では最初から怜と呼んでいます。

やっぱり前回の試合後に連絡先交換してからふたりは親密になってますよね。

夜な夜なふたりだけでどんな会話をしているのかナア…?


次の打者は五番の光。

光は打席に入る前に美咲から菊地原対策のレクチャを受けていました。

素直に美咲の言葉を聞いている光先輩、お母さんの言いつけを聞いている園児みたいでかわいい

あえてカウントを悪くしておいて決め球のフォークを誘う光。

光は遅れてチームに加入したことを最初の合宿の頃からずっと悔いています。

副主将になって一年生たちのコーチ役を担っていたのもおそらく光が自らすすんで挙手した役割でしょう。

短い時間でもチームに貢献できることを、と常に考えてきた光は、手を抜かないいつもの自分の全力を信じてフルスイング。


珍しく感情をあらわにガッツポーズをする希。はよ走れ

シンクロした表情をみせるベンチのオリジナル4。

理性を失い傍らの菫をハグしてしまう白菊。

飛び出していきそうな勢いで仁王立ちする京子とそれを支えるララ。

新旧その他さまざまな想いを乗せた打球は一気に外野まで!

と、今話はここまで!



今回、怜たち三年生組がおのおの「悔い」について考えているのは106球で美咲が「悔いを残してほしくない」と檄を飛ばしたことに端を発してます。

その美咲は今話でまたタッチアップと菊地原攻略とで2つ、前話に続けてファインプレイをしていますね。

芳乃より仕事しているのでは(←やめなさい)

今話は副題の通り三年生が中心の回ですが、そこにはしっかり後輩の支えがある、これが新越谷の野球なんですよね。


それにしても、リアルの高校野球の県大会も各所で接戦や逆転劇がそこかしこでありましたが、

ハタで観ているぶんには面白いものの、当事者の立場ではひやひや冷や汗の連続で大変。

しんこしの試合もそんな感じですねえ。ふぅ…


とはいえ、まだ勝ったわけではありません

姫宮は前の試合を延長タイブレークで勝利してきています。

この先もし延長ということにでもなれば、直近で経験している姫宮のほうに心理的優位があると言えるでしょう。

できれば7回までに勝負を決めてしまいたいところです。


宿題は理沙のヒット(長打)と希の本塁打あたりでしょうか。

現在1アウト2塁の状況ですが、回ってくるであろう白菊の代わりに入った京子ちゃんは打席に立たせてもらえるのかな?

そして光は完投する体力が残っているのか?はたして…

まだ交代要員もいますので、芳乃の采配がどう出るのかに注目です。


リアルの2025年夏の埼玉県を制したのはいつもの強豪校ではなくなんと越谷のあの高校でした(頑張って!)。

追い風が吹いてるような…そんな気がしてきますね!😘

フォワード次号は少し早い8/22発売です、

どんな展開が待っているのか、次回も楽しみですね!!