異母弟は寝顔まで完璧とは。
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(撮影者:尾形百之助)
つまらんな。本当につまらん。
同居する異母弟の寝顔をベッドの端で頬杖をつきながら眺める。
この男は起きていても完璧なのに寝顔まで秀麗とは。ははぁ、全く。同じ血が半分流れているとはとても思えん。
「貴方は起きていても完璧なのに、寝顔までお綺麗で実につまりませんなぁ。どうすりゃ貴方の顔は愉快になるんです?教えて下さいよ。ねぇ、勇作さん?」
尾形は無意識に微笑みながら誰に聞かせるでもなく呟いた。
それから目の前で眠る弟の前髪を人差し指で掻き分けるように梳いてやる。
柔らかくフワフワとして心地よい感触だ。
指先で何度か梳いてるうちに弟の耳に掛かっていた前髪がはらりと落ちた。
ただ髪が落ちた、それすら余りに絵になりすぎて尾形は眩しげに目を細めた。
(・・・・ふふふ。もう起きてる事、兄様はまだ気が付いてないな。すみません、どうすれば愉快な顔になるかは勇作にも分かりません。)
さらり さらり
尾形の指先はまだ前髪を撫で続けている。
(・・・・・兄様の指先・・・少しくすぐったいけど心地良いな。あともう少しだけ、寝たふりをしていようか。)
勇作は兄の指先がもたらす心地よさをもう暫く堪能する事にした。
優しい微睡みの中で柔らかな幸せに身を任せながら。