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2024.06.30 16:08

藤原義孝の話

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※これはX(Twitter)に投げたのとほぼ同じ内容です。


いろいろ思うところあって(大河の方向に向く←見てない)、平安創作のうち完売したものをオンデマで印刷できるようにしました。電子書籍はこれからですけど。

クロスフォリオに機能がないので、そこが残念です。

最初は藤原義孝です。


当初『うた恋い。』にはまるまでは平安時代はあんまり興味なくて(せんそうが…! ないので…!)、改めていろいろ読むようになったんですが、なかでも藤原義孝はキレイすぎて食指が全く動かず…… だって夭折した悲劇の貴公子cv石田彰とか、どう思います???


で、『うた恋い。』でひとり小説アンソロやろうと思ってあまりにネタがなく、調べたりしてるときに歌集『義孝集』があることを知って(散逸してるケースもある)読んでみたら、全然お行儀のいい貴公子なんかじゃないんですよね。

びっくりましたわ。


百人一首に採られた和歌は、ものの本によると「妻にあてたもの」とあるんですけど、実はそれには根拠がないんですよね。

さらに『義孝集』を読むと源惟正の娘にだいぶ懸想していた様子が残ってるんです。


惟正は義孝の父(伊尹)と家族ぐるみで縁の深い受領層の貴族で、娘はのちに大河でも出てくる藤原実資の正室になってたり、妻の姉妹が兼家妾→三条天皇尚侍→道隆妾になってたりと、なかなかおもしろいポジションにいる人です。

伊尹は「これただ」とも「これまさ」とも読めます。平安貴族は読みであっても名前のかぶりを非常に嫌がったので、近く接していても改名していない辺り、距離の近さを窺えます。


君がため~は「妻への後朝の歌」と書かれていることもあるんですが、その割に返歌なかったりもするので後朝だったとしても「成就しなかった恋の歌」だと面白いなと思ったのが書いたきっかけです。


なお、「君のためなら捨てても惜しくない」とかすげー大げさですけども、歌集読んだあとだと「あー、まあ、こいつ軽いからな」って気持ちになれます(いいの?)。

歌集から見るに、女好きではないですが、世慣れしてわりかし軽い名家のボンボンって感じです。

チャラいな…と思いましたが、私はその方が好きです。


もともと、兄ちゃんたちが上にいっぱいいましたしね。

嫡流ではあったんですが、本来はそれほど期待される順番ではなかったはずなので。