一九八六年に生きていた経茅花 薫は気づけば廃墟と化したビル群の中に立っていた。
歩けど歩けど崩れ落ちたビルばかりの世界。しかも冬の地方都市、それも夜であったはずなのに今や彼女の周囲は真夏のような暑さの、昼間であった。
そんな中で薫は自分が五十歳の肉体から若返っているらしと気づく。そうしてこの世界のビルには死体が埋め込まれ、はみ出ていることにも気づいた。
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葦にあらず