13人目のウィザード

0

165

『13人目のウィザード』

魔法の礎を築いた国ルドマドール。
民はすべて魔法使い。民は日夜魔法の研究に勤しんでいました。

学生魔法使いであるグレン・フリードもその一人です。
彼の研究は初級魔法をいかに強く、いかに早くするものでした。
変わった研究だと、周りからは奇異な目で見られていましたが、
そんなある研究発表会でのことでした。

「あははは……一応、研究は成功……かな」
魔法研究の発表会場に立ち尽くすグレンと、
その周りの地面に複数の生徒たちが横たわっていました。
彼らはグレンの研究に意義を唱えて来たものたちです。
意味のない研究だと無理やりグレンに勝負を挑んできましたが、
結果はご覧の通り。グレンの圧勝で終わったのです。
初級魔法だけで勝利したグレンに誰もが驚きました。

「見事だ、グレン・フリード」

突如発せられた声に、皆その声がする方へと視線を向けました。
その視線の先にいたのは、12人の最高位魔法使い
『ウィザード』の称号を持つ、大魔法使いたちでした。

国の、いや世界トップの魔法使いたちを目にし、
グレンを含めた皆が緊張し、身体を膠着させました。

「近年、あのサビ臭い隣国との関係が緊迫してる中、
お主のような若くて、優秀な魔法使いが現れるのは、
大変喜ばしい! そこでだ、グレン・フリードよ」
「は、はい! なんでありますか!」
名前を呼ばれたグレンは、背筋がいつも以上に伸びました。
そして、どんな事をいわれるのか固唾を飲んで身構えます。

「グレン・フリードよ、お主を13人目のウィザードに任命する」
「「……えええええええええええええええ!?」」
一同の声はしばらく耳に残るほどに、響きわたるのでした。

----------------------------------------------------------
真摯に魔術を学び続ける少年のもつ魔力は、
私が見込んだよりも遙かに強大なものであった。
いつの日か、計り知れないほどの力を手に入れるだろう。
そのとき彼は、自身のその力を、どのように受け入れ、
どのような選択をするのだろうか。いまから楽しみである。
----------------------------------------------------------


2019年秋開催グループ展「BEST STYLE」で展示した作品『nine-ナイン- ~遠く、誰かのものがたり~』より

「ファンタジー世界と物語」をテーマにした、9つのイラスト&ショートストーリー作品です。


イラストの無断転載/無断使用/AI学習を固く禁じます。

Unauthorized reproduction, use, or AI training of this illustration is strictly prohibited.

看更多
Tag
Tags:
  • 作品集名稱
  • 作品名稱
  • 商品名稱
  • 系列
  • 商品種類
  • 創意工作者
  • 分類
  • 其他
  • 官方
  • 動画
  • R18