公開投稿

2025.07.19 12:00

シリーズ成立の経緯

A SOUL HOMEシリーズは、世界の始まりから終わりを描く絵巻物ですが、

私が初期に「降ろしてきて描いてた絵」がいったい何だったのかを、人生かけて解明していってるシリーズでもあったりします。

なにしろ降りてきたのを描いてただけなので、自分でも何だかは知らなくて。その後徐々に、描いていた絵には実は物語がついていたことが分かってきた、という経緯があります。


思えば私は図画工作超絶苦手小学生だったのですが、理由が「自分が絵が下手だから」でした。子供だからとか関係なくて、自分が求めるレベルの絵が描けないから嫌いだった。私は昔からそういう性質でした。

その後まさか美術が好きになり、美大に行くとは思ってもみませんでしたが、それも最低限のデッサン力や表現力がついたから一応楽しくなってきたという感じの目指し方で。なんか満足できないな、形になりづらいな…と思いながら、マンガっぽい絵柄とアートっぽいの中間みたいな絵を好きで描いてました。

そうして美大に入って2年目、自分の中で少し目が肥えたんでしょうか。なんとなく、楽しく描いてればよかったはずの絵に、中身のなさ、空虚さを感じるようになってしまって。しょせん自分の頭の中だけの世界の絵じゃ全然ダメだ、このレベルを超えられないんだったら描く意味がないな…と19歳の時に行き詰まってしまって、半年ほど、一枚も描かない期間があったのです。

その後偶然、3年生になって取ったデッサンの授業で、初めてコンテ木炭を使い、なんか面白かったな、木炭でもコンテでもなくて…と家で何気なく何か描き始めてみたところ、見たことも考えたこともなかったような絵が、ほとんど自動的に現れて。なんか、戦慄しました。無意識領域のことを初めて目の当たりにしたのは、この時です。そして、「この画材で無意識にまかせて描いたら、自分のコントロール下では到達できない場所に到達した絵が描ける」と分かったのです。理屈は分からなくても、真実は分かります。しかも、その前までの自分にはこれを到底超えられないことも分かってました。

それで、じゃもうこれ以外で描くのやめよう、この不思議な描き方で何がどこまで行くのか見てみよう…ってなって、それまでやってたイラストっぽさは捨てて、そういう降霊術みたいな描き方になってから、私の絵描きとしてのキャリアはスタートしています。


で、そうやって描き続けるうちにだんだん「これらの絵は、何か大きなストーリーの一部分を切り取ったものだったのだ」と分かってきたのです。

絵を描いてからしばらくして、その絵の語る言葉がある日突然どがーん!!とまとめて降りてきて、え?!と書き留めて…を続けてったら、さらにある日、え、全部の話が繋がってる?!今まで自由に描いてた絵の大部分がここに属する?!どういうこと?!ってなりまして。

セルフ謎解き状態です。なんか、私の体質なのかもしれません…。

今も、細かな作画もページ構成も、基本セルフ謎解き状態でやっています。だから遅いんだけど、だから面白い。そして、どうあがいても商業向きではない。。だから、セルフでやっております。



こういう構造マップを書いて何度も世界構造等を確認してました



何年もかけてそういうことが起こり続けて、それをまとめてみたところ、A soul homeの世界構造が出現しました。それがもうざっと…。20年くらい前。。

それがあまりにもデカすぎるし、構成力も画力もデザイン力もまだまだ何もかもが足りないと自覚してました。修行先が欲しいけど、基本的にマンガか子供向け絵本しか市場にないこの国では見つからないだろうな…かといって他に行く先も思い当たらないし…と思ってた矢先、突然、ほとんど偶然とか運命とかによってたどり着いたのが、そう、プラハの美大でした。それで留学+移住に踏み切ったのです。


その学生期間に他の本を作りながら、足りなかったものや新しい手法や考え方を学び、自分のやり方でお話を本にする方法を少しは学べました。それでもその後まだ10年くらい、試行錯誤し続けてました。iPadでの作画が可能になってからだいぶ打開できたんですが、そこからまた「機能がありすぎて分からん」の波に飲まれたらなどし…。笑

その間に、プロットはなんとか揃ったのです。思考自体はずっと止めてないので、あるプロットの中間部分だけないなというのがある日具体的な言葉遣いやキーワードと共にどかんと降りてきたりして、出先であわてて書き留めて、帰宅してから文章に残したりとか、そうやって書き揃えていったものです。

本当に、全体が壮大なパズルという感じです。


ネームや画面構成も、それまでに何度もトライしてました。映画をイメージしたマンガっぽいネームも何度も書いたし。その間に数度だけ、作品と言えるとこまでいったん完成してたのが、このサイトにも載せる「閑話」です。画面構成やテンポてきにはA SOUL HOMEのプロトタイプみたいな形であり、エピソードとしては結果的には閑話として本編の伏線になるような、まあ外典的なものです。

でそこからまた、苦闘して。もちろん、本編を最終的には形にしたいわけなので。。で、今の本編の進め方になりました。


これでなんとか今進めてるのですが、その中でも、Rejou×rみたいにかなり分かりやすく進行してくれる子もいれば、イメージの力が強すぎてほとんど言葉になってないプロットとかもあって。Roseは特にそう。Roseの頭が良すぎて言語を必要としない部分があるので、解説役兼、彼女を見守っていた人としてじいやが出てくるんですが、二人視点の物語でこの人の訳のわからない業みたいのを描くとなると、もう本当、画面構成や物語構成がさらに複雑で。

それでもなんとかやれる方法を見つけた感はあるので、日々頑張っています。

去年までは美術プロジェクトの方のインプロコラボが忙しすぎたんですが、2024年夏以降はもうほとんどソウルホームシリーズだけに専念していて、それでもこの!進み具合!!でも前進はしてるからよしとする。ここまでの年月に比べたら、破格の勢いで進んでると言えるので…。。!


というわけで、ここまでの経緯。

私に中で、見せれる絵がない以上誰にも分かりやすく説明はできない話だったため、ずっと一人で抱えてきたみたいなプロジェクトです。

やっとこうやって、これ描いてたんだよとか見せれるようになったので、書いてみました。