疑似餌

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 “ 学者からの話の後、宿を取るため裏門から路地へ出た。 すぐそこの角をまがると麻袋を被せられ、縄を手で縛られた学生服の男が倒れていた。 カエデは駆け寄ったが大仰な足枷を見たときその歩は止まった。 「おい、何してる」 「倒れている子がいるんだ、誰がやったか知らないがご丁寧に足枷と鎖まで」 「大方あの学者とやらの犬だろ、放っておけ」 「先生はこんなことはしないよ。奴隷はずいぶん前に禁止されているし船の件でも…これはひどいな、ズタズタだ」 「大げさだな。そいつが奴隷ならあの家の猫はなんだ?華族共か?」 「猫?なにを言って── 「そそこに誰かいるんですか?」 「ああ君無事だったか。一体これは… 「その、その声は巫女様ですか?ぼ、ぼぼぼく逃げたけど、捕まっ捕まっちゃってそれで…」 「知り合いなのか?」 「いや?犬を飼ったことはないな…ん?」 「おい真面目に──── 腹を立て、振り返ると童女いつにも増して眉間の皺を深くしていた。 「待て。カエデ、お前にはそいつが何に見えているんだ?」 「何ってどう見てもただの… 「み巫女様、巫女様どどっどこですか?よく、見えない。明るい、明るいところへいかないと」 そう呟きながら彼は灯りで照らされた路地の先、足枷も気にとめず月光が指す場所へフラフラと歩いて行った。 ズタ袋の後頭部が照らされる。そこには石灰のようなモノで数字が書かれていた。 「さんじゅうご?」 目を細めつつカエデが近づくと童女は服を掴み彼を影の中へ引っ張った。 「逃げるぞ」 「あれは疑似餌だ」” 疑似餌こと帯田周平くんの登場。話数がたりないので彼が掘り下げづらい。 この後は一枚前に繋がる。結局逃げられなかった。 人狼は遠く離れた街にもつい先日出ていた。人狼は女を通り魔的に襲う。 何を釣るための餌なのかは次回か次々回で触れられたら触れたい。 文章では縛られていると書いていたが、そう見えただけで実際は縛られているのはズタ袋のみで、手は拘束されていない。ズタ袋の口を絞る長い紐を腕に巻き付けた上で首を絞めるように引っ張っている。 彼は、なんとしても顔を外にさらしたくないのである。 ズタ袋の中に、かつての学帽が似合うりりしい己の面影はもうないのだから。

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