リリアン・ジャンと聖少年ダルク
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~~とある男による記録~~
【リリアン・ジャンと聖少年ダルク】 という作品らしい。
前側に描かれているリリアン・ジャンは英雄『聖少年ダルク・ジャン』の妹。奥にいる磔にされた少年がそのダルク・ジャンだ。
リリアンはチェクティック城に住んでいて、ティージェル・バートリュと同列でレオンハルト第三王子のお気に入りの一人だ。この絵を描かれたのは、彼女が18歳のときらしい。
この絵のことはよく知らないが、『神に見放され死す少年・ダルク』。一方で兄を返せと願い、常に神を信仰しようが悲劇は変わらなかった。そして今の自分の置かれた城の残虐な実態が改善するどころか悪化していくというに、城主たちが率いる聖歌隊で毎日神へ祈りと賛歌を捧げさせられる日常。故に神などいない、いるなら兄は生きて釈放されたはず…と『神が憎いのに信仰心を捨てきれない異性装の少女・リリアン』の絵らしい。
…せっかくだから、ダルク・ジャンの話をしよう。といっても、俺が聞いた噂程度のものだけどな。
ダルクはルードレェ王国にある田舎の村に住んでいた少年だった。彼が軍隊に所属することになる少し前、ダルクは神の啓示を受けてルードレェ王国軍に従軍し、戦争で重要な戦いに参戦し勝利を収め、各都市をルードレェ王国へ取り戻し、現国王の戴冠を成功させた。戦争ではルードレェの第三王子、レオンハルト・ラーヴァルと共に軍勢を率いて戦ったらしい。
そんな英雄ダルクだが問題があった。
ダルクには女装癖があった。
彼は可愛らしい服を纏うことを好んでいた。
今ではそんなことは個性として認められているが、当時のルードレェ王国は違かった。ダルクが生きていた頃は、『異性装と同性愛は異端。排除しなければならない』と定められていた。 故にダルクは公国軍の捕虜となり、異端審問にかけられ、19歳で磔・火刑に処せられた。
そんなダルクを愛し妄信していたレオンハルト第三王子は、現国王に法の改定を何度も訴えかけた。
…レオンハルトは表向きは『国を救った英雄がそんな理由で処刑されるのはおかしな話』と言っていたが、実際のところは、レオンハルト自身が美少年を…即ち同性しか愛せなかったところが大きいと言われている。
レオンハルトや国民の声が響いたのか、国王はようやく動いたものの、それはダルク・ジャンが処刑された後だった。
さてリリアンの話だが、彼女も兄であるダルクの処刑に強く反対していた。 処刑場でも死刑執行直前まで必死に叫んでいたリリアンだったが、その悲痛な思いが届くことはなかった。
焦げて朽ち果てた兄を前に崩れ落ちるリリアンに声をかけた男がいた。レオンハルトだ。
そのあとは…なんだったか?うまいこと言いくるめられたリリアンはレオンハルトの従者になったり、レオンハルトの命令で髪を短くさせられたり男装させられたり、チェクティック城で王子たちと暮らす羽目になったり、チェクティック城の実態を国王に告発したり……いろいろあったらしいが、彼女の情報は少なくてな。
あぁそういえば、リリアンも神の声を聞くことができたらしい。
チェクティック城の内部告発を行ったのも、神からの啓示が届いたからだとか。彼女はかつては信心深い教徒だったからな。
…だがリリアンは、兄が処刑されてからは無神論者に近い状態に変わっちまったらしい。それなのになぜ神の声を聞くことができたかについては、一説によると兄を喪ったショックとストレスによる統合失調症などの精神病の幻聴だったと言われている。リリアンが神の声を聞くようになったのはダルクの処刑後らしい。
まぁ、聖少年ダルクもリリアン・ジャンもついでにレオンハルト第三王子もそれぞれみーんな処刑されちまったから、真相はわからないことだらけなんだがな!
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