あいつこっち見てるぜアニキ(啓涼)
47
急激に寒くなった頃に描きたくなった冬の装いの啓涼inイルミネーション。
カップルでにぎわう公の場で堂々といちゃこらしてチームのモブくんに見つかってくれ…の気持ちで描きました。
いろんなイルミネーション系のキラキラブラシを使うのが楽しかったネ。
原稿ばっかりで久々にカラー絵描いたのと、3Dモデルをはじめてつかってみよう!のイラストだったのでちょっといつもと顔が違う。
以下レッドサンズのモブくん(彼女持ち)視点のおまけ文です。
兄弟に見せつけられるモブに、わたしはなりたい。
―――
彼女が行きたいとねだってきた人気のイルミネーション。正直寒いし、あまり外には出たくなかった。
いざやってきてみれば確かに評判を裏切らずライトアップはきれいだし、寒さと周りのカップルたちを言い訳にしていつもよりすこし積極的な彼女の振舞いも悪くないと思った。
だけど、それでも。
年の瀬でとにかく人が多いという事実だけは、オレの気分の足をひどく引っ張るのだ。
人の波に流されて彼女を見失わないように手をしっかりと握る。
ふたりとも危うく酔ってきたかもしれないという頃、カラフルなライトに彩られた植木の陰に見慣れた長身の金髪が駆けていくのを見た。
「啓介さん?」
長時間歩いたこともあり彼女もつらそうだったので順路を逸れて、人影が消えていった方へと人波をかき分け進んだ。
針葉樹が並んで植えられている裏にベンチが備え付けてあり、表の順路からは見えづらい穴場になっているらしい。
ぽつりぽつりと何組かの男女が休息を楽しんでいた。席も空いていたからありがたい。ふたりでそこに避難した。
「知り合い? わたし休んでるから挨拶してきていいよ」
お言葉に甘えて彼女を残し針葉樹並木をたどっていくと、イルミネーションに負けない華やかな見目の我らがナンバーツーをすぐに見つけることができた。
「いたいた。啓介さ…ん…?」
あぶない。そりゃそうだ、こんな場所にひとりでいる方が珍しい。お相手がいる。
チームの他の奴らなら茶化すくらいするかもしれないけど、オレはちょっとその勇気はない。
どうしたものか。今声をかければ邪魔になる。
かといって見かけたのに挨拶をしないというのもはばかられる。
しばし逡巡する内、1組の男女がオレと啓介さんたちの間に滑り込んできた。
オレはその機に乗じて啓介さんのお相手を一目だけ拝んでから、こっそり彼女が待つベンチへと戻ることしようと決めた。
「あれっ」
黒髪のショートヘアで腰掛けていてもわかるほどすらりとスタイルが良いその人は、よく見ればこちらもまた見覚えのある人物だった。
啓介さんが梳いた長い前髪の隙間から覗いた、切れ長の目、凛々しい眉毛、白い肌。
立ち上がって唇を合わせた、啓介さんと同じくらいの上背のその人は……
「やべ」
お相手にすっかり気を取られていたオレは、キスから顔を上げいつの間にかこちらを見ていた啓介さんとばちりと視線がかち合った。